巨人移籍1年目のキャンプで投球練習する野上亮磨=2018年2月(C)朝日新聞社
巨人移籍1年目のキャンプで投球練習する野上亮磨=2018年2月(C)朝日新聞社

 巨人がセ・リーグ首位を独走し、9月15日に優勝マジック「38」が点灯した。開幕前は先発陣のコマ不足、一塁のレギュラー不在などが懸念されていたが、原辰徳監督の用兵術は他球団の指揮官に比べると一枚も二枚も上手だった。高卒2年目の右腕・戸郷翔征が先発の軸として一本立ちし、大江竜聖、増田大輝、松原聖弥ら若手の成長株が躍動。シーズン中のトレードで緊急補強した高梨雄平、ウィーラーも貴重な戦力としてピタリとはまっている。

 一方で居場所がなくなっているのが、フリーエージェント(FA)で加入した陽岱綱と野上亮磨だ。陽は2016年オフに5年の大型契約を結んで日本ハムから移籍したが、レギュラーどころか規定打席に到達したシーズンが一度もない。5年契約4年目の今季も30試合出場で打率2割2分9厘、1本塁打。8月10日に登録を抹消されると、その後に3軍降格も経験。崖っぷちからはい上がり、勝負強い打撃で貢献している中島宏之と対照的な結果になっている。

 昨年10月に左アキレス腱断裂の大けがを負った野上も復活を期してファームで調整しているが、置かれた状況は厳しい。17年オフに西武からFA移籍したが、2年間で計5勝と目立った成績を残せていない。

 スポーツ紙デスクは、こう分析する。

「沢村拓一のトレードで分かるように今の巨人は活躍できる場所がないなら、その選手の野球人生を考えて他球団に出す方針です。巨人に移籍してからの働きぶりを見ると、陽岱綱、野上が来季の戦力構想に入るのは厳しい」

 また、日米通算170勝の右腕・岩隈久志も今季は1軍昇格どころか、2軍での登板機会もない。18年オフにメジャーから日本球界に復帰したが、巨人で1試合も1軍で投げていない。前出のスポーツ紙デスクは、こう話す。

「右肩の状態が思わしくないのでしょう。実戦で全然投げていないし、39歳という年齢を考えても巨人のユニフォームを着て来年プレーするのは考えづらい。現役続行するかを含めて去就が注目されます」

 FA補強は球団の「目利き」が問われる。戦力として機能しなければ、不良債権になってしまう。陽、野上は共に33歳。まだまだ老け込む年ではない。広島から巨人にFA移籍した大竹寛のような復活劇もある。18年にわずか2試合登板で戦力外の危機だったが、原監督に救援に抜擢された昨年に32試合登板で4勝8ホールドと復活。今年も23試合登板で1勝(1敗)15ホールドの好成績で勝利の方程式に不可欠な存在になっている。陽、野上も意地を見せられるか。=記録は9月15日現在(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事