「馴れ合いになるような関係性では絶対になくって、お互いが子役からやっているからこそ、いい意味でお互いのことを気にしているんですよ。『今は集中したいだろうから、話しかけないほうがいいな』みたいなことがなんとなくわかるというか」(同)

「これ説明つかないよね。こういう関係性になってみらいとわからないだろうなあって思う(笑)」(同)

 深いところで理解し合えるライバルだったのだろう。

 子役から大人の俳優へと成長を遂げた三浦さん。いつしか「海外」という言葉も出くるようになった。それでも、心の支えになっていたのは中学卒業までを過ごした地元・茨城の友人や知人だった。

一番は、双子の親友の存在だろう。

「小学校高学年の時に、親友の双子と3人で自宅から筑波山まで遠出したのはすごく印象に残ってますね。軽く、2、3時間はかかる距離なんですが、夏の暑い日に3人で井上陽水さんの『少年時代』を大声で歌いながら(笑)、ひらすら走りましたね。懐かしいなぁ~。アイツら覚えているかな?」(non・no 2013年6月号/23歳)

 この双子の親友は思い出の中の存在にとどまらず、俳優としての道を歩む三浦さんに寄り添い、時間をともにしてきた。

「小学校からの双子の親友がいて、彼らはボクシングの世界チャンピオンなんですが、いつもビジョンを話し切磋琢磨し合ってきました。どんなにお金をもっていてもシェアする人がいないのは寂しい、僕は幸せだと思います」(美ST 2018年1月号/27歳)

「小学校五年生のときから親しくし合える格闘家の兄弟の存在が大きいと思います。(中略)彼らにいい報告ができるように頑張る!という感じなので(笑)。一緒にご飯を食べにいっては、近い将来のこと、遠い将来のこと、いろいろなことを楽しく会話して、刺激をもらったり、自分に嘘のない、いい芝居をしていこうと改めて思ったり……。(中略)メンタル面でもかなり支えてもらっています」(家庭画報 2019年2月号/28歳)

 もう一人、詳しい素性は明かしていないが、長年お世話になった人として、三浦さんが言及している人物がいる。児童劇団時代に三浦さんに演技指導をした人で、上京してからは連絡が途絶えていた。亡くなる直前に知人から連絡を受けて会いに行ったという。

「そこで最後に言ってくれた『絶対に焦るんじゃないぞ』という言葉を、これから先も思い出しながら、ずっと自分の糧にしていくんだろうなと思います。忘れられません、その言葉が」(週刊文春 2018年12月18日号/28歳)

 誰もが三浦さんのことを、向上心があって努力家だと評する。ただ、そうした成長への欲求はたいてい、現状に対する「焦り」と表裏一体。三浦さんのそばにいた人はそれを見抜いて言葉をかけ、本人も自覚していたのかもしれない。好きな言葉や座右の銘を聞かれると、三浦さんは自分に言い聞かせるように「焦らないこと」と答えていた。

 そして迎えた30歳。発言の内容からは人生の節目に目標を掲げることで、ひとつひとつ乗り越えようとしていたようにも思える。

「30代は迷っている暇はない。漠然と思い描いていたビジョンを、具体的に形にしていく年代だと思っています」(NIKKEI WOMAN 2020年3月号/29歳)

 「30歳」にむけて、三浦さんはどのような未来を思い描いていたのか。次回は20半ばから出演した作品とそれに対する発言を中心に振り返りたい。(AERAdot.編集部)

※このシリーズの他の回はこちら
【1回目】三浦春馬さんの死に傷ついている人へ もう一度聞きたい「本人の言葉」を集めて~仕事と家族~
https://dot.asahi.com/dot/2020091400066.html

【3回目】三浦春馬さんのいた時間を忘れたくない人へ 大切にしたい「本人の言葉」~30歳の節目~
https://dot.asahi.com/dot/2020092800043.html

【4回目】三浦春馬さんの死から時が止まってしまった人へ 結婚と恋愛をめぐる「本人の言葉」https://dot.asahi.com/dot/2020100300016.html

【5回目】三浦春馬さんの死でつらい思いを抱える人へ 「14歳の母」から「せかほし」まで本人の言葉https://dot.asahi.com/dot/2020100600064.html

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