林:井上監督はいつもビシッとした格好をなさって、カッコいいですね。
井上:いやいや、篠原先輩があれだけふざけてくれるので、僕がよりいっそう理想の柔道家のように見えて、篠原先輩にはいつも「ありがとうございます」と言ってるんです(笑)。
林:コロナで開催が危ぶまれる来年の東京オリンピックですが、この前、IOC(国際オリンピック委員会)の副会長が「来年オリンピックをやる」と宣言しましたね。
井上:うれしいアナウンスではあるんですけど、まだまだ予断を許さない状況だと思いますね。
林:「オリンピックなんかやれるわけがない」なんてことを、このあいだも「週刊朝日」が書いてましたが、選手の皆さんは、そういう悲観的な記事を見ながら、不安の中でモチベーションを保って練習に励まなきゃいけないので、ほんとに大変だと思いますよ。
井上:今、すごい葛藤の中にいるんだろうなと思います。厳しい言い方になるかもしれませんが、中止もあり得ることなので、すべてをネガティブにとらえて行動に移すのか、今この時期だからこそポジティブに、やるべきことをコツコツやるのかによって、差が大きく出てくるんじゃないかと思うんです。やってる選手は「やってるな」と感じますし、「ちょっと大丈夫かな」と思う選手もいますので、サポートしながら、21年のオリンピックで最高のパフォーマンスができる準備をしていきたいなと思います。
林:本当に、この状況に負けずに頑張ってほしいです。
井上:自分たちで変えられることと変えられないことがあって、コロナを収束させるとかいうことは、われわれの力ではどうにもできない。だから今は自分たちができることをコツコツと積み上げるしかないと思っています。選手たちには「必ずオリンピックがあるんだと信じて、日々努力していこう」ということを伝えています。
林:モスクワ・オリンピックをボイコットしたとき、山下さんが泣きながら無念さをお話しになったのを覚えてますけど、あんなつらい目にあわないといいですね。