つみたて投資をまだはじめていない人は、「もう少し下がってから」といったことを「はじめない言い訳」にする。だが、安くなった=相場全体が素人にもわかるほど下がっているときに投資をはじめられる人は、あまりいない。
「元本保証ではない」「損するかもしれない」と投資のリスクばかりクローズアップされるが、ここで考えてほしい。
投資信託(以下、投信)のつみたての場合、運用で得た利益を再び投資に回す形になる。これにより、利益がさらに利益を生む「複利の効果」が得られる。
複利は、運用期間が長くなるほど有利だ。逆に言えば、はじめる時期が遅くなればなるほど、増やせる可能性が失われる。つみたて投資をしないリスクもあるのだ。
相場の大暴落が起こったときも慌てず「今は安いからたくさん買えているな」と考えて、にっこりしていればいい。資金に余裕があるなら単発で買い増しをすれば買った値段の平均が下がるので、そのあと上昇に転じれば大きな利益を生んでくれる。
では、売り時についてはどう考えればいいのか?
「60歳までずっと同じ運用を続けて、引き出し時にまとめて保有投信を全部売るという発想は危険な面もあります。ちょうどそのときに、2008年のリーマンショックやコロナショックのような大暴落があったら、資産が大きく目減りしてしまいます。長期運用の利点は買い時だけでなく、売り時も自由に選べること。たとえば、つみたてた資金が運用の成果で1.5倍に増えたら、投資資金の半分は売って定期預金に移す、といった売却ルールを決めることも有効でしょう」(ファイナンシャルプランナーの平野雅章さん)
つみたてている途中に資産が1.5倍に増えたら、その半分を売却するというルール。必ずそうしろというわけではないが、これは参考になる。売却した資金は、預金で持っていてもかまわない。