■老後、一気に引き出す必要もない 

 つみたてNISAは最長20年だが何歳になっても続けられるし、iDeCoも70歳まで運用可能。急いで引き出す必要もない。

 ここで、まとまった資金を毎月少しずつ引き出した場合の試算をした。投資資金1000万円を60歳になってからも毎年1~5%で運用し続けた場合、毎月10万円ずつ引き出すと何年でなくなるか?

 年1%の運用でも、月10万円の引き出しを8年8カ月も続けられるという結果になった。2%運用なら9年1カ月、5%運用に至っては10年9カ月。

 老後になっても、ゆる~く資産運用を続ければ、より長期間の恩恵を受けられるのである。

 最後に、投資信託の3カ条について紹介しよう。

 投資信託を買う時に知っておいてほしい3カ条は、「安い時期にはじめようと思わない」「素人には安い時期などわからない」「大暴落時に買い増しもアリ」。

 そして売る時に知っておいてほしい3カ条は、「『老後にまとめて売る』は危ない」「投資資金が1.5倍になったら半分売る」「『老後は引き出しながら運用」もアリ」。これらは“投資信託で失敗しないための3つの掟”と言い換えてもいいだろう。

(取材・文/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない投資信託の基本』の記事に加筆・再構成









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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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