また、妊娠中は、免疫系や心機能・呼吸機能の変化によって、インフルエンザに罹患すると症状が重症化しやすいことや、重篤な合併症を引き起こす可能性が高くなることがわかっています。ニュージーランドの環境科学研究所のPrasad氏らは、妊婦中の女性がインフルエンザに関連した入院の割合が、妊娠いていない女性よりも3.4 倍高かった(期間別にみると、妊娠初期は2.5倍、 妊娠中期は3.9倍、妊娠後期は4.8 倍であった)ことを報告しており、インフルエンザによる重症化や合併症から守るためは、妊娠中のインフルエンザの予防接種が欠かせないことがわかります。
さらに、妊娠中のワクチン接種が、インフルエンザから赤ちゃんを守ることにもつながることも報告されています。デンマークのMølgaard-Nielsen氏らの報告によると、妊婦さんにおけるインフルエンザ感染に対する妊娠中の予防接種の有効性は63.9%であり、生後6カ月未満の乳児において確認されたインフルエンザ感染に対する妊娠中の母体のワクチン接種の有効性は56.8%であったのです。
となると、インフルエンザワクチンの供給が例年より早まることが見込まれている、つまり接種希望者が多くなると予想されている今シーズンは、高齢者のみならず、乳幼児や小児、さらには妊婦など、インフルエンザワクチン接種が強く推奨される方々に対する早期接種を呼びかけることが必要なのではないでしょうか。