内科医も指摘する心臓病などによる突然死だが、新型コロナが心臓にダメージを与え、突然死を引き起こす可能性があることもわかってきた。
米オハイオ州立大学の専門家チームは、コロナに感染したサッカーやアメリカンフットボールなどの選手26人の心臓を調べたところ、4人に心筋炎が起きていたことを報告した。心筋炎は心臓の筋肉組織に炎症がある状態で、疲労、息切れ、動悸(どうき)などの症状を起こし、突然死に至ることもある。選手26人のうち、コロナの症状が軽症だったのは12人、無症状は14人だった。
つまり、無症状や軽症で済んだ人にも、長期的な後遺症が残ることになる。この問題に詳しい医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が説明する。
「心筋炎は将来、心不全のリスクになるかもしれないのです。コロナ感染によって若者でも突然死するケースがあることから、世界で研究が進められてきたのです。無症状や軽症ならば安全とはもはや言えなくなりました」
独フランクフルト大学の研究では、100人のコロナ感染者の心臓を検査したところ78人に異常な影を確認し、60人に活発な炎症が起きていた。
一方、リモートワークによる健康障害も深刻だ。
「通勤による運動量が著しく減っています。ウォーキングアプリを用いた調査では、今年4、5月の1日の平均歩数は5946歩で昨年同時期の7215歩より18%も減っています。逆に増えたのは座っている時間です。“座りすぎ”は健康に悪く、死亡率を高めます。特に、糖尿病を悪化させます」(上氏)
外出自粛の生活が長期化すると、メンタル面にも悪影響を及ぼしてくる。自粛生活などが高齢者の精神面に与える影響は大きいようだ。精神科医の和田秀樹氏が指摘する。
「外出自粛生活を送ることで眠れなくなったり、食事が取れなくなったりすることは重要な問題です。特に高齢者はうつ病になるリスクが高い。もともとセロトニンの分泌量が減っているうえ、カラオケ大会やゲートボールなどができなくなり楽しみが奪われているから回復も遅れます」