ではなぜ、吉岡がそれをできないのかといえば、こういう考えの人だからだ。

「私はそもそも自分の中に嫌われる要素があるなと思っていて。そういう部分はちゃんと受け入れて、それでもみなさんに真剣に作品を届けたいと思っているので。嫌われても、私は作品を見てくださる方が好きだから。(略)失敗する、嫌われるかもしれないと思っていてもやる。そういうことを生きていく上で大事にしたいんだと思います」(BuzzFeed Japan)

 これも役者としての真摯な仕事観である。ただ、問題は彼女が大事にしたい演技を続けていくにもそれなりの人気が必要なことだ。たとえば、前出の「嫌いな女優」アンケートでは、その演技への低評価も見られ、男性からのこんな声もあった。

「演技力ゼロ。嫁さんだったら最高なんだけど……」 

 個人的に、彼女の演技力がゼロだとは思わないが、よほどの大根でない限り、演技の評価なんて見る人の好き嫌いでしかない。彼女が嫌いだから演技も好きになれない、という女性も多いのだろう。また、男性にとって「女が嫌う女」をかばうのは得策ではなく、勇気の要ることだ。

 しかも、ドラマや映画はどちらかといえば、女性の人気に左右される。作り手も商売上「女が嫌う女」を使いたがらず、そういう印象がついたがゆえに活動が尻すぼみになっていった女優は珍しくない。かつての裕木奈江(50)や有森也美(52)しかり。吉岡にはそうなってほしくないのである。

 とまあ、ここまで読んできて、筆者が比較的、彼女を好きなことにお気づきの人もいるだろう。その理由を、自覚できた瞬間がある。2年前、彼女が「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」(日本テレビ系)で地方を旅したときのことだ。

 彼女は一般の中年男性から、新垣結衣(32)に間違えられてしまった。これは視聴者のあいだでも「たしかに似てる気がする」「わからんでもないな」と話題になったが、筆者にとっては別の意味で興味深いハプニングだった。

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水着グラビアをめぐる発言の“誤解”