普段は都内の医療現場で外科医として働く、漫画家さーたり医師。医師や母親としての日常や趣味の“オタク活動”を描いたコミック『腐女医の医者道!』シリーズやブログなどが反響を呼び、活動の場はますます広がっている。現在発売中の『医学部に入る2021』では、さーたり医師にインタビューし、手術も子育てもオタクも諦めない!好きを貫く力を語ってもらった。
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「腐女医が行く!!~外科医でママで、こっそりオタク~」。このブログ名のとおり、さーたり医師は、子育てしながら医療現場で働く外科医だ。
祖父、父、母が医師という医師一家に生まれ育った。「医者になるのが当然」という周りの期待に素直になれず、高校の進路希望調査には「考古学者」「宇宙飛行士」などと記した。
「本来は行きたい大学や学部を書くので的外れだったのですが(笑)、医者以外になりたい職業があったのは事実です。親の言いなりになりたくないという思春期が故ゆえの、反抗心もありました」
■苦手な理系科目を突破するため練り上げた「戦略」
しかし、幼いころから医の世界は常に身近にあり、人命を救う仕事に魅力を感じてもいた。高校3年、医学部を目指すことを決意する。が、文系が得意だったさーたり医師の前に、理系科目の大きな壁が立ちはだかる。
「数学や生物はなんとかなったものの、化学、物理がちんぷんかんぷん。 現役合格は諦め、2年計画の戦略を練りました」
それは、有機化学と無機化学の徹底攻略。
「この二つは暗記でいける。得意分野を作れば少しは自信が持てるかなと考えたのです」
この戦略が功を奏し、見事合格。医学部への切符を手にした。
女子校育ちだったさーたり医師にとって、医学部は初めて体験する「多様な世界」だった。
「多浪の人も多かったし、大検を受けた人、社会人入学やシングルマザーの学生もいた。バックグラウンドが違う人が医学を学ぶという同じ志を持って集まっている。すごく刺激的で楽しかった」