大阪市を存続させるか、特別区を設置するか「大阪都構想」の住民投票が10月12日に告示された。11月1日に投開票が行われる。
大阪維新の会が提唱し、2015年に続いて2度目となる住民投票。前回は大阪市長だった橋下徹氏を中核として大接戦となったが、反対が賛成を1万票ほど上回り、否決された。
今回は大阪維新の会に加えて、公明党が賛成にまわった。告示当日には、大阪・ミナミの街頭で大阪維新の会代表・大阪市長の松井一郎氏、代表代行で大阪府知事の吉村洋文氏とともに、公明党大阪府本部の代表である衆院議員の佐藤茂樹氏らが檀上で「賛成」を訴えた。10月18日には、公明党の山口那津男代表が大阪入りして、松井氏や吉村氏らとともに演説した。
一方で、反対する自民党の大阪市議や国会議員は告示当日、共産党や立憲民主党の議員らとともに別の場所で「反対」をアピールした。
前回の住民投票では、反対にまわった公明党。投票日の票数では、賛成がわずかに上回っていたとされる。だが、期日前投票の組織票が加わり、反対が逆転した。
つまり、強固な組織票を持つ公明党の力が結果に反映したのではないかとみられているのだ。今回は公明党が賛成にまわったことの影響もあるのか、これまでの世論調査でも賛成がやや有利という数字が出ている。
「公明党の組織票があれば、今回は勝てる」(大阪維新の会の府議)
と強気な発言が多く聞かれる。
国政で連立を組む自民党と公明党という枠組みが、大阪では大阪維新の会と公明党に当てはまるようにも見えるこの構図。だが、公明党の土岐恭生大阪市議は記者に囲まれ、
「国政と大阪とは違う」
と強調。大阪維新の会との連携は大阪都構想だけに限ったものだと説明し、松井氏も横でうなずいていた。
維新はこれまで、安倍晋三前首相、菅義偉首相と親しい関係を築いてきた。今回の大阪都構想について、自民党の大阪選出の衆院議員からはこんな不満が漏れる。
「菅首相には明確に反対と言ってもらいたいとお願いしている。しかし、ゼロ回答です」