同大は9月、低濃度のオゾン水にも新型コロナの不活化効果があることを確認したと発表している。
同大医学部ウイルス・寄生虫学の村田貴之教授は、
「地下の店舗や劇場など、人がくる場所にもかかわらず、換気ができにくいところもあります。そういった場所に、このオゾンが感染対策の有効な手段の一つになるのではないかと期待しています。もちろん、その場合も手洗いやマスクなど基本的な感染対策も併せて行っていくことが重要です」。
気になる安全性については、前出の田村事務局長がこう話す。
「当然ながら、濃度が高いほどウイルスの不活化効果があります。ですから、夜間や休日など、人がいない場所、時間帯では濃度を高めにし、人がいる場所、時間帯では安全が担保できる低濃度のオゾンを用いるとよいと思います。実際、そうやって対応しているところが多いと聞いています」
オゾンのウイルス不活化効果は、インフルエンザウイルスなどでも確認済みだ。いったいどんな仕組みでウイルスの感染力を止めているのだろうか。
村田教授は、「主に二つの仕組みが関係している」として、こう解説する。
「オゾンの酸素原子がウイルスの膜にくっつくと、膜のたんぱく質や脂質が酸化されます。これによりウイルスは細胞に入り込むことができなくなります」
これが一つめの作用で、もう一つは、湿度が高いと特に力を発揮する。
オゾンは空気中の水分に反応して、ヒドロキシラジカルという酸化力の強い活性酸素を作り出す。これがウイルスを強力に酸化させるなどして、感染力を抑えるという。
実験の結果を受け、藤田医科大学病院では9月初旬から、院内の発熱外来や救命救急室(ER)などでオゾン発生装置を使用し、感染リスクを減らす取り組みを始めている。
同大によると、
「ウイルス不活化は実感しにくいが、研究成果が出ているものが発熱外来などに設置されていることで、気持ちの面で安心感が得られている」
といった意見が出ているという。