「おや?」と思って立ち止まる。そしてはじまる旅の迷路――。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界を歩き、食べ、見て、乗って悩む謎解き連載「旅をせんとや生まれけむ」。第35回は、コロナ後に向けて国境をまたいだ人の移動について。
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アフター・コロナ。国際間の人の移動をめぐり、東南アジアでは中国が絡んだ迷走が続いている。
タイは新型コロナウイルスの感染をほぼ抑え込んでいるが、観光客の入国は許していない。しかし観光に依存するエリアは瀕死状態。そこでタイ政府は、特別観光ビザをつくった。これは入国をプーケットに限定した 90日の観光ビザ。延長も可能で最長で270日の滞在が可能というものだった。しかし入国後に14日間の隔離、最低で30日の滞在や諸検査などが条件になっていた。往復ともチャーター機で、ホテル代は先払い。かなり高額な観光になる。
対象国を限定していたわけではないが、タイ政府は中国と交渉を進めたらしい。9月下旬には、100人を超える広州の中国人がやってくるという発表があった。
「高額ツアーですよ。それでもやってくるのは、中国の富裕層とタイ政府は読んだんでしょうね。中国は感染を抑え込んでいるので、その面での問題もないと」
バンコクの旅行会社の社長はいう。
第1陣は10月8日にやってくることになっていたが、突如、25日に延期。実際はツアー参加者が集まっていないなどのうわさが飛び交った。ところが20日、40人の中国人が特別ビザで上海らやってきた。入国空港はプーケットではなくバンコク。参加者が集まらず、上海からの定期便を利用したようだが、プーケットのホテルはどうなるのか。関係者は隔離中に決めるといっているようだが、その迷走ぶりが伝わってくる。
カンボジアも観光客の入国は禁止しているが、労働ビザをもった人の入国は可能だ。しかし独自の入国ルールをつくっている。それは入国時にPCR検査を行い、陽性者が出れば、その飛行機に乗っていた人全員が14日間の隔離を強いられるというものだ。ロシアンルーレットのような入国?