来年4月、消費税の税率が5%から8%に上がる。安倍晋三首相は日本経済をインフレに振れさせようとしており、日本銀行も物価の2%上昇をめざすインフレ目標の導入を決めた。

 物価よりも一足早く、金利はすでに上がり始めた。住宅ローンの基準となる満期10年の国債の金利をみると、当時の野田佳彦首相が衆院解散を宣言した昨年11月14日には0.735%だったが、今年に入ると一時0.835%を記録した。

 そんななか、新聞の折り込みに新築マンションの広告が目立つようになった。「頭金ゼロでOK! 月々9万円台から」などと宣伝文句が躍っており、「住宅ローンがこの金額ならいまの家賃以下だし、買えるかも」と、憧れのマイホームに手が届く気がしてくる。物価が上がる前に金利がこれ以上高くなる前に……の心理だろう。

 不動産情報会社アトラクターズ・ラボの社長で『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)の著者、沖有人さんによれば、インフレになると、まず株や不動産の価格が上がり、それに引っ張られて金利も上昇し始めるという。いまがまさにそれではないか。

「期間にもよりますが、金利が0.1%違えば総返済額は1.8%ほど変わってきます。みんな消費増税に気をとられていますが、0.3%違えば軽く消費増税分を吸収できるし、そもそも消費税は建物部分にしかかからない。もっと金利に敏感になったほうがいい」

週刊朝日 2013年2月8日号