「焼き魚定食」小鉢3品、おかわり自由の味噌汁、ご飯付き880円。写真はサバ焼き。天然ブリ丼1080円。夜は魚料理を中心に酒の肴も提供。税込み  (撮影/写真部・小黒冴夏)
「焼き魚定食」小鉢3品、おかわり自由の味噌汁、ご飯付き880円。写真はサバ焼き。天然ブリ丼1080円。夜は魚料理を中心に酒の肴も提供。税込み  (撮影/写真部・小黒冴夏)
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魚屋として店を構えて110年。いまも仕出しの注文などを受ける  (撮影/写真部・小黒冴夏)
魚屋として店を構えて110年。いまも仕出しの注文などを受ける  (撮影/写真部・小黒冴夏)
外茂治さん(左)、宏至さん父子。息子が毎朝、豊洲に魚を買い付けに行く  (撮影/写真部・小黒冴夏)
外茂治さん(左)、宏至さん父子。息子が毎朝、豊洲に魚を買い付けに行く  (撮影/写真部・小黒冴夏)

 今もまだ残る古き良き店を訪ねる連載「昭和な名店」。今回は渋谷の「魚料理 のじま」。

【写真】魚屋として店を構えて110年。いまも仕出しなどの注文を受ける名店

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 再開発が進む渋谷駅に近い並木橋のたもとで、明治の頃から魚一筋で商いをする老舗がある。店構えは一見、魚屋に見えるが、中に入るとカウンターがあり、天然の魚料理をふるまう店として評判を呼ぶ。昼どきは定食目当てのサラリーマンたちに人気だ。

「地元の金沢で魚屋をやっていた私の祖父が、東京で一旗揚げるために上京して明治43年にここで『魚仁』という魚屋を開きました」と話すのは83歳の3代目主人、能嶌外茂治さん。戦時中は店を閉じるも戦後、店は復活した。

 仕出しの注文も多く、店が繁盛するなか、父親である先代から「これからの時代は魚屋だけでは駄目だ。時代に乗っていかないと」という教えを受け、1989年に魚料理の店を始めた。

「うちのオヤジは一度だって養殖ものを売ったことがなかった。天然に勝るものはないって教えられましてね。それだけはずっと守ってきました」

 昼は焼き魚、煮魚、刺し身定食のほか、天然ブリ丼を提供。魚はその日の仕入れで変わるが、いまは脂がのった秋サバや太刀魚がおすすめ。夜は居酒屋となり、運が良ければ銀座で数倍の値がつく大間のマグロに、良心的な値段でありつけるのもありがたい。

(取材・文/沖村かなみ)

「魚料理 のじま」東京都渋谷区渋谷3‐15‐9並木橋ビル1F/営業時間:11:00~15:00 18:00~21:00L.O.(土は昼のみ営業)/定休日:日祝

週刊朝日  2020年11月6日号