菅首相は日本学術会議の問題では「多様性が大事だ」と強調したが、自らを取り巻くブレーンはいかに。その顔ぶれから、菅政権の特徴も見えてくる。AERA 2020年11月9日号では、菅政権のブレーンに注目した。
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「私が目指す社会像は、『自助・共助・公助』そして『絆』です。自分でできることはまず自分でやってみる。そして家族、地域で互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します」
臨時国会が始まった10月26日、菅義偉首相は所信表明で目指す国の姿をこう話した。
「居抜き内閣」などと揶揄(やゆ)されながら、一方で携帯電話料金の引き下げやデジタル庁の創設などで「菅カラー」も出そうとする新首相。この国をどこに向かわせようとしているのか。処遇されたブレーンたちの顔ぶれから考えてみたい。新政権の発足で、安倍政権で成長戦略づくりを担った「未来投資会議」が「成長戦略会議」に衣替えした。後に触れる内閣官房参与も含め、登用された人たちは以下の通りだ。
●菅首相の主なブレーン(敬称略)
<成長戦略会議の有識者メンバー>
金丸恭文・フューチャー会長兼社長
国部 毅・三井住友フィナンシャルグループ会長
桜田謙悟・SOMPOホールディングス社長
竹中平蔵・慶応大名誉教授、パソナ会長
デービッド・アトキンソン・小西美術工藝社社長
南場智子・ディー・エヌ・エー会長
三浦瑠麗・山猫総合研究所代表、国際政治学者
三村明夫・日本商工会議所会頭
<内閣官房参与(カッコ内は担当分野)>
飯島 勲・元首相秘書官(特命)
平田竹男・早大教授(文化・スポーツ健康・資源戦略)
木山 繁・元国際協力機構理事(経協インフラ)
西川公也・元農林水産相(農林水産業振興)
今井尚哉・元首相補佐官兼首相秘書官(エネルギー政策等)
高橋洋一・嘉悦大教授(経済・財政政策)
宮家邦彦・立命館大客員教授(外交)
岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長(感染症対策)
熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト(経済・金融)
中村芳夫・経団連顧問(産業政策)
村井 純・慶応大教授(デジタル政策)
ここでは民間出身者に注目するが、米金融大手ゴールドマン・サックス出身で小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏と、三井住友フィナンシャルグループ会長の国部毅氏以外は、未来投資会議からの続投だ。会議出席の謝金は職位などにより、最大で1時間当たり1万1300円が払われる。