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俳優の伊藤健太郎さんが、ひき逃げの事故を起こして逮捕されて話題になりました。伊藤さんは今年だけで映画も数本以上に出演、ドラマでも活躍、大企業のCMもありました。人気俳優として駆け上がる大事な時に起こした事故でした。彼の俳優としての今後のキャリアは絶たれるかもしれません。今まで積み上げたものも、周囲からの信頼も全て失うことになりました。
言うまでもなく、彼のイメージを落としたのは、事故を起こしたことよりも、事故を起こした後に現場から逃げようとしたことです。交通事故において、ひき逃げの罪は重いです。人を轢いて救護せずに逃走を測ることは、悪質です。目撃者がいなかったり、人通りの少ない道であったりすれば、加害者が救護しなければ、被害者の命は危うくなります。俳優としての仕事や立場で頭がいっぱいになっていたのかもしれませんが、事故現場からの逃亡は最悪の対応です。
仕事でもプライベートでも、有事の際の対応はその人の本質が現れます。不祥事や重大なミスをした際、それを隠そうとするのか、自分の非を認めて謝ったり、人として正しい対応をするのかは、起こった問題よりも重要です。例えば仕事でミスを犯したとして、すぐに上司に報告するか、隠そうとするかは、起こった問題以上にその人の進退を決定します。「悪い報告ほど早めにする部下」の方が信頼できるからです。
また部下がミスを犯した際に、皆の目の前で怒ったり責任を追及する上司は、人望を失います。人前で本人のことを罵倒する人を、信頼する人はいません。災害や不況などの不可抗力な事態が起こった際も、その人がどんな対応をするかで進退が決まります。ピンチの時こそ、本性が現れるからです。
私事ですが、9年前の東日本大震災の影響で夫の事業がうまくいかなくなったことがあります。結婚したばかりで子供が生後6カ月の時期に収入が10分の1くらいに減りました。「病める時も健やかなる時も…」とは言いますが、そんな殊勝なことを言っていられないのが現実です。子供を育てるにはお金がかかるし、毎日どうやって過ごすのかなど悩みは尽きません。情けないことに半年くらいは毎日主人に罵詈雑言を浴びせて泣いてました。あの時に心を折られなかった主人のメンタルの方が、私よりもずっと強いと思っています。