コロナ禍で海外への渡航がままならないなか、日本に居ながらにして語学を学べる「オンライン留学」が注目されている。社会人や小中学生でも受講できるメリットがある。AERA 2020年11月9日号から。
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授業開始時間10分ほど前に、指定されたオンラインの教室のURLをパソコンでクリックした。まだ誰もいない。操作を間違えたのかとやや不安になっていると、間もなくしてルクセンブルク人の女性が入室した。
「大丈夫。もう少ししたら先生は来るから」
そう英語で声をかけてくれた。
なるほど。クリックした先で、たちまちルクセンブルクの人と出会い、話す。それが「オンライン留学」の世界なのか。世界は思いのほか近いのかも、と実感した。
■留学の概念が変わる
続くコロナ禍で、生活やライフプランの変更を余儀なくされた人は少なくない。「留学」はそのひとつだ。
東京で暮らす大学1年生、ツイッター名・あっきーさん(19)はオーストラリアの大学に合格し、8月から現地で学ぶ予定だった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大で入国できなくなり、授業は全てオンラインになった。時差が2時間あるため、授業の1限は朝7時から始まる。パソコンを開くと、世界各地のクラスメートたちの顔が並ぶ。
「早くキャンパスで会いたい。来年の夏までには、と祈る思いです」(あっきーさん)
SNSには、「留学のチャンスがつぶれた」「大学生のうちに行けるのか」といった不安の声が上がる。
留学は、大学などへの進学留学と語学留学に大別される。海外留学協議会の調査によると、日本人の留学の約7割が語学留学だ。世界各国の語学学校や大学の語学コースも、3月下旬ごろから続々オンライン化した。
「2020年はオンライン留学元年。留学の概念も変わろうとしています」
そう語るのは、来年創業50周年を迎える留学ジャーナルの事業企画部の横山健一さん(52)だ。
従来から、オンラインで海外の教師に学ぶ「オンライン英会話」などはあった。「オンライン留学」はそれとどう違うのか。