「ストレスによって体が冷えて血のめぐりが悪くなることにより、ED(勃起不全)になるのは珍しくありません」

 などとのっけから男にとってショッキングな話をするのは、鍼灸師で「全国冷え症研究所」(東京都葛飾区)の所長、山口勝利(かつとし)さんだ。

 冷え性といえば、女性特有のように思いがち。だが「身体が冷えてつらい」と悩むオトコも少なくないのだ。

 山口さんによれば、冷え性は冷える部位によって(1)腰から下(2)手先、足先(3)うなじや背中、腰など体幹(体の中心)――の三つに分類されるという。

 それぞれの原因は、(1)が、体の中心部の体温である「深部体温」の低下、(2)が、血管を圧迫する因子があり血液が末梢にまで流れない、そして(3)がストレス。男性に多いのが、3番目のストレスによる冷え性だという。

「体が冷えて、やる気が出ない」
「元気がない」

 そんな悩みを訴える男性が、20代、30代を中心に一日に10人近く山口さんの研究所を訪れる。

 診察すると、過剰な冷暖房の温度差にストレスを感じているケースがもっとも多いという。一般に、男性はストレスに敏感で過剰に反応するとされる。

「通常、寒い時は血管が収縮し血行が悪くなり、手足の先などが冷える。しかし、ストレスの場合は、自律神経の働きが乱れ、皮膚に近い血管が拡張して熱が外気に奪われ、体幹に冷えを感じるようになるのです」

 山口さんから改善策を挙げてもらった。(1)温かい食べ物、飲み物を取る(2)入浴をする(3)衣服で温める、の3点だ。これらを普段からまんべんなく、焦らずに実行すれば、体質は変わっていくという。

AERA 2013年2月11日号