次に、コンテンツが記憶にどのように残るのか、について考慮すべきだと思います。私は8歳の頃に初めて『もののけ姫』を観たのですが、たたり神の動きや、腕や首が切れる侍の描写が怖かった記憶が強いです。『火垂るの墓』の描写も怖かった記憶があります。コンテンツの素晴らしさよりも、強烈な記憶です。ストーリーの核となる大切な部分よりも、ビジュアルの恐ろしさが記憶に残っているので、当時の私にはまだ早かったのだと思います。同じ現象が、鬼滅の刃にも起こるのではないかと思っています。

「鬼滅の刃」では、主人公の家族が惨殺されます。映画では、この殺害現場が暗い血だらけの部屋として描写され、割とショッキングな映像です。アニメでは鬼の姿も恐ろしく、首が跳ねたり血が飛び散る部分は、ホラー映画のようです。子どものトラウマになりかねない映像なのは事実で、流行っているからといって、親が好きだからといって、安易に子供に見せるべき作品ではないと思います。そもそも「鬼滅の刃」は子ども向けのコンテンツではありません。YouTubeのガイドラインの基準であれば、完全に子ども向けコンテンツの範囲からは外れている作品です。

 私の息子は、「鬼滅の刃」の歌やキャラクターや技が好きになり、漫画を読み、Amazonプライムでアニメも見ました。そして作品が好きになり、映画を観たいと言うので一緒に観ましたが、怖がる様子もありました。全体的には楽しんだようで、映画は「面白かった」と言っていますが、親として見せて正解だったのかはわかりません。下の子は2歳なので、彼女の前では見ないようにしています。

 インターネットで視聴できる上に大ブームとなっているため、「鬼滅の刃」は、すでに子どもたちの間でも人気コンテンツとして浸透しています。私も大好きな作品です。親子で共通の話題になるのは非常に良いことだと思います。ですが、大人向けコンテンツと子ども向けコンテンツの線引きが曖昧になるのは危険です。「鬼滅の刃」のアニメは、本来は子供向けに制作されていないことを、念頭に置いて考えるべきです。日本には、漫画やアニメをはじめ、素晴らしい作品がたくさんあります。年齢に適したコンテンツを見せることは非常に大切です。少なくとも、そのコンテンツが、自分の子どもにはまだ早いのではないか、と考えたり、どんな描写や映像を含んでいるのかを知っておくことは重要です。

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