今シーズン阪神でプレーしたボーア(左)とサンズ(右) (c)朝日新聞社
今シーズン阪神でプレーしたボーア(左)とサンズ(右) (c)朝日新聞社
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 日本シリーズも終わり、プロ野球はストーブリーグが本格化する時期となった。既に来シーズンに向けての補強に動いている球団も多いが、改めて今シーズンの外国人選手の活躍度と、現時点での来季に向けての展望について診断してみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。

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【巨人】

2020年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
90試合14勝9敗17セーブ7ホールド

・外国人野手合計成績
165試合109安打17本塁打53打点4盗塁

・外国人選手MVP:サンチェス
15試合8勝4敗0セーブ0ホールド 防御率3.08

 期待された新外国人のパーラは故障もあって思うような成績を残すことはできなかったが、投手ではサンチェス、メルセデス、デラロサ、ビエイラ、野手ではシーズン途中で加入したウィーラーが戦力となり、層の厚さを感じさせた。特に大きかったのがサンチェスとデラロサの投手二人だ。ともに離脱した期間はあったものの、トータルで見れば十分に期待に応える成績を残した。この二人がいなければ、シーズン中も苦しい戦いとなったことは間違いないだろう。

 来シーズンも投手陣は前述した4人が残留の見込みで、年齢的にもまだまだ若いだけに十分な戦力として期待できる。一方の野手はウィーラーも残留が濃厚と言われているが、全盛期は過ぎた感があり少し手当しておきたい。ファーストと外野が少し手薄な状況となっているだけに、新外国人で補強したいところだ。

【阪神】

2020年外国人選手活躍度:A
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
116試合7勝12敗25セーブ31ホールド

・外国人野手合計成績
238試合203安打40本塁打123打点4盗塁

・外国人選手MVP:スアレス
51試合3勝1敗25セーブ8ホールド 防御率2.24

 ここ数年外国人の当たりが多い阪神だが、今年も野手ではサンズとボーア、投手ではソフトバンクから移籍したスアレスが期待に応える活躍を見せた。中でも見事だったのがスアレスだ。開幕当初は中継ぎだったが、7月以降は不動の抑えに定着。最速160キロを超えるストレートで打者を圧倒し、最多セーブのタイトルを獲得した。またサンズは19本塁打、ボーアも17本塁打と試合数が少ない中ではまずまずの結果を残しており、チームにとって貴重な得点力となっていた。

 ただ来年を考えると少し不安材料が多い。まず最も気がかりなのがスアレスの去就だ。今年の大活躍でメジャー球団も調査に乗り出しているという話が出ているのだ。このレベルの投手を新たに獲得できる可能性は低いだけに、何としても残留にこぎつけたいところだ。また野手も高額な年俸がネックとなってボーアの退団が決定。マルテも去就が微妙なところだ。サンズ一人だけでは不安なだけに、新戦力の獲得に動く必要はあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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