池井戸潤さんのベストセラー小説『シャイロックの子供たち』が映画化され、まもなく公開される。主演の阿部サダヲさん、部下役の上戸彩さん、玉森裕太さんが「お金」について語り合った。AERA2023年2月6日号の記事を紹介する。

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──シャイロックとはシェイクスピア作の「ヴェニスの商人」に登場する強欲な金貸しの名前だ。「身体の肉1ポンド」と引き換えに金を貸した彼になぞらえた、小さな町の銀行員と市井の人々のお金にまつわる物語は、身近なリアルさをもって我々に迫る。

阿部サダヲ(以下、阿部):メガバンクで起きた現金紛失事件って聞くとちょっと堅いイメージがありますけど、すごくわかりやすいので安心してください。原作の僕の役は途中で失踪しちゃうのでそんなに出番がないのかなって思ってましたけど、台本を読んだら「あれ? オレ、主役?」って。出来上がった映画を試写で観た時も思いました(笑)。

上戸彩(以下、上戸):第一声が「けっこうオレ、出てたね」でしたもんね(笑)。

──小さな支店銀行で起きた現金紛失事件。阿部さん演じるお客様係・西木、上戸さん演じる部下の愛理、玉森さん演じる後輩の田端が、事件の真相を探っていく。

上戸:愛理はすごく個性のあるキャラクターではないので、銀行に勤める普通の女性を心がけて演じました。

玉森裕太(以下、玉森):僕の田端も自分のキャラクターに近いです。経験の少ない未熟な青年が上司と先輩についていくように、阿部さん、上戸さんについていきました。

上戸:スリリングな作品だけど、現場は和気あいあいとしていたんですよね。阿部さんと一緒のシーンはどうしても笑っちゃうし、私もテンションが上がっちゃったので、その感じがちょっと画面に出ているかもしれません。

■この現場では剥がれた

阿部:上戸さんは人を見抜く力があるんですよ。僕、撮影中に次の舞台の台本を読んじゃったんですが、これがけっこう怖い役だった。そしたら現場で上戸さんにすぐ「顔つきが変わった!」って言われて。

上戸:わかりやすかったですもん。「阿部さん、誰か人殺してきましたね?」って(笑)。たまちゃん(玉森さん)は、みんなのいじられ役でしたね。

玉森:僕は普段、あまりいじられキャラじゃないんですけどね。(Kis-My-Ft2の)メンバーにもいじられないし。

上戸:え~? そうなんだ。

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