※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)
この記事の写真をすべて見る
血糖値スパイクのチェック表 (週刊朝日2020年12月11日号より)
血糖値スパイクのチェック表 (週刊朝日2020年12月11日号より)
血糖値の変動 (週刊朝日2020年12月11日号より)
血糖値の変動 (週刊朝日2020年12月11日号より)

 原因不明の体調不良は、血糖値が急激に上がったり下がったりする「血糖値スパイク」によるものかもしれない。健康診断では見つけにくい症状で、さまざまな病気を引き起こす。新型コロナウイルスの第3波が到来し、巣ごもり生活が長引くことで、この症状に悩まされる人が増える懸念もある。

【血糖値スパイクのチェック表はこちら】

「気分が悪い」
「なぜか、体がだるい」
「仕事ができないほど眠くなる」

 銀座泰江内科クリニック(東京都中央区)には、原因不明の体調不良を訴えて受診する人が絶えない。共通するのは食後という点だ。

 食後に眠くなるのは当たり前、と思う人が大半だろう。だが、これが血糖値スパイクと言われる食後高血糖の症状だ。

 食事で体に入った炭水化物は分解されてブドウ糖になり、血液中に取り込まれる。食後は誰でも血糖値が上がるが、正常値の140ミリグラム(1デシリットルあたり)を超えることはなく、数時間で下がる。

 しかし、食事のあと数時間のうちに血糖値が急上昇する場合がある。今度はそれを抑えようと、膵臓(すいぞう)からインスリンが大量に分泌されて急激に血糖値が下がる。数値が釘(スパイク)のような鋭い上下の線を描くことから血糖値スパイクと呼ばれるのだ。泰江慎太郎院長が説明する。

「あだ名のとおり、やっかいな病態です。空腹の状態で血糖値を調べる通常の健康診断では正常値になるため、見つけるのが難しい。なにより自覚症状がないため、知らずに悪化します」

 血糖値スパイクを放置すると、糖尿病につながる。そのほか、さまざまな病気を引き起こす。

「血糖値スパイクのある方は、健常人と比べて、心筋梗塞(こうそく)、狭心症、脳梗塞、脳出血などの心血管病は1.9倍、がんは1.6倍、認知症は1.5倍の発症リスクがあることが知られています」

 血糖値スパイクの原因は明白で、(1)おにぎりやサンドイッチなど炭水化物だらけの食事(2)運動不足や食事を抜くなど不規則な生活──の二つだ。

次のページ