コロナ禍を背景に、日本に押し寄せるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波。なかには必要に迫られて急きょプログラミングを猛勉強する人も。AERA 2020年12月7日号では、その一人である「花まる学習会」の高濱正伸先生に、プログラミング学習の実際について聞いた。
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対面をメインにしていた花まる学習会もコロナ禍でオンライン対応を迫られ、4月から「花まるオンライン授業」を開始しました。以前からサイトや申し込みフォームの作成は社内SEが対応し、銀行決済などの大がかりなシステムは外部業者に委託。ただ、技術を買うので費用も高額になり、一度基幹システムとして導入するとバージョンアップの度に予算を組まなければならないことが悩みでした。
内製できることを増やそうと5年前からSEを雇っていたものの、今度は「伝わらない」という壁にぶつかりました。3年ほど試行錯誤するなかで、私自身がプログラムを書かないにしても、構造を理解しなければSEと協働できないと気付いたんです。
自分でプログラミングの素養を深めたい。でも、時間がない。そこにコロナ禍で、オンライン授業の開始です。意を決して9月にプログラミングを学べる「テックキャンプ」を受講しました。7日間のブートキャンプのような講座で、平日3時間、土日は10時間ぶっ通しでHTMLやCSS、Rubyの基礎をオンラインで学びました。
最初はとてもつらくて、講師の説明もちんぷんかんぷんでした。ですが、言葉を一つひとつ丁寧に復習して、体系的に学ぶことで基本構造が見えてきた。語学と似ていて、世界がぱっと広がる瞬間がありました。SEとの打ち合わせもスムーズに進むようになりました。
教育や介護のように人と接する仕事も、AIで自動化できる時代です。プログラミングで何ができるのかを教養として知っておけば、仕事の解像度はぐっと上がります。(ライター・市岡ひかり、編集部・福井しほ)
※AERA 2020年12月7日号