会見後、レポーターが発した「我々もガキの使いで来てるんじゃない」という言葉が「不愉快だ」と話題となっていたが、個人的には、会見全体を通してあのやりとりが最も見るに堪えない場面だった。あの質問をしたレポーターの立場で考えると、おそらく、その意図は冗談の意味を含んだ“イジリ”のつもりだったのだろうが、私は全く面白いと思わなかった。もしかすると、渡部さんと信頼関係があるお笑い芸人が適切なタイミングで発すれば笑えるものだったのかもしれない。だが、大汗をかき、あきらかに精神的に疲弊している人間に対して、さらに追い打ちをかけるようなタイミングで投じられたあの一言とそれをせせら笑う周囲の空気感は、まさにい“いじめ”そのものだった。

 ありきたりな表現ではあるが、あの会見を見て、私は「いじめを助長するだろうな」と感じてしまった。渡部さんの犯した不貞行為が不適切であることは間違いないが、あの会見は「いじめはいじめられる側にも原因がある」と言っていじめを行う子供たちを助長してしまうだろう。「悪いことをした人には何でもしていい」と間違った考え方を植えつけてしまうことになるのではないか。

 さらにもう一つ、不適切な発言かもしれないが、あの恐ろしい会見を見て感じたことを正直に話すと、出演の噂のあった大みそかの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の「絶対に笑ってはいけない」シリーズで松本人志さんと共演する渡部さんを見てみたいと思った。関係者のことを考えると、出演は良くないことなのだろう。それでも日本を代表するお笑い芸人が、いまの渡部さんを“いじめる”のではなく、どのように“イジる”のか。どうやって笑える状況にするのか。あの発言をしたレポーターに見せつけてほしいとさえ思った。夢物語かもしれないが。(コラムニスト・妹尾ユウカ)

◆せのお・ゆうか/1997年8月生まれ。一児の母。コラムニスト。ツイッタ-のフォロワー数は7万5千人(2020年12月現在)

暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)