常におもてなしに備えているとしか思えない隙のなさ。
きっと頭の中の整理整頓も上手なのだ。
で、何だっけ。
おっとそうだそうだ。
で、問題の「大掃除」についてである。
日々、こまめに掃除をしていれば、大掃除の必要はない。
そうは言うけど、そんなのは目の前のことに追われているうちに日々が過ぎていくのだから無理だ。
さらに、ちょっと掃除をやる気になって、色んなものを移動させると、二日後には忘れて「あれ? どこいった?」となる。
うちの夫なんてさっきまで履いていたパンツを「消えた!」と探し回るほどなのだ。
結局見つからず、翌朝、リビングの椅子の上で発見した。
だからやっぱり「忘れる」ことは散らかることなのだ。
考えてみると、私の仕事に限らず、誰しも仕事の事で頭がいっぱいになると、思わぬ忘れ物をするものだと思う。
ドラマの仕事は、まず企画書をもらって、次に「準備稿」という、正規の台本になる前の、「まだ多少の変更の余地がありますよ」という段階の台本をもらう。それに目を通して、全体の雰囲気や自分の役柄の確認をする。
私はこの時点でセリフは覚えない。まだ微妙に変更するかもしれないからだ。
覚えたセリフと微妙に違うセリフを覚え直すのは、とても混乱するからだ。
本番で「あれ? どっちだっけ?」となるからだ。
たとえば、語尾は「ござりんす」だっけ?「ありんす」だっけ? となるからだ。
だから、決定したセリフだけを覚えるようにしている。
そして、衣装合わせと同時にちょっとした顔合わせと打ち合わせを済ませて、決定稿が手元に届き、スケジュールが決まって、セリフを覚えて、撮影に挑む。
決定稿が来てから撮影当日までは、連続ドラマの場合だと、1、2話のうちは2週間くらいの猶予があったりするが、7、8、9話あたりになると、シーンによっては決定稿を手にしてから2日後に撮影、なんてこともある。
セリフがたくさんある時は、日常生活をしながらずっと頭の中でセリフを反芻していたりする。歩きながら。電車にゆられながら。自転車に乗りながら。買い物しながら。