不要なものを処分するのは、片付けの鉄則。だが、片付けが苦手な人はものへの執着やこだわりを持っていることも多い。そこで西原さんは、「無理に捨てなくていいですよ」と伝え、まずは分類とラベリングから始めた。パントリーは「粉類」「缶詰」「乾物」「パスタ」「ルゥ」などに分け、カゴやファイルボックスに収納。足りない分は紙袋を内側に折り込んで箱状にして代用した。

「ものを分類することで、全体の総量が可視化でき、『これなら捨ててもいいかな?』という思いが生まれてきます。納得がいかないまま捨てると反動が出ることもある。判断に迷うものは保管箱に入れ、日付を記入して、つり戸棚など、生活を圧迫しない場所やキッチンの片隅に保管。それだけでも十分片付きます」(西原さん)

 人に片付けてもらった状態を、ずっとキープするのは難しい。ただ、ものの住所を決めることで、リバウンドしても元の状態に戻すのが楽になったと女性はいう。

「以前は、在庫数が管理できていないお店みたいだったんです。在庫がわからないからとりあえず買って仕入れる。100円ショップに行くと5千円分ぐらい使っていました。それでものが増えて、ますます汚れていくんです」

 在庫がわかったことで無駄な買い物が減り、節約にもつながった。何よりきれい好きな夫の機嫌がいいことが、片付けの効用だと嬉しそう。

 西原さんの片付け術は、ハードルを下げて、完璧を求めず、特性に合った工夫を取り入れるのが特徴だ。

「片付けの目的は、生きることが楽になる部屋を作り、ストレスを軽減すること。だから正解はないし、やりやすい方法も人によって違うんです」

 例えば、洋服がしわになることよりも、畳むことのほうが当人にとってストレスになるのなら畳んで収納する必要はなく、ハンガーにかけたままクローゼットにしまえばいい。乾燥機を利用する人には、「上」「下」とマークをつけた段ボールに、トップスとボトムスに分けて投げ込むだけの収納を提案したこともある。それ以上細かく分類するのは本人にとってストレスであり、それが最も「持続可能」な落としどころだったからだ。

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