各人の特性に合わせて収納を工夫する整理収納アドバイザーの西原三葉さん。実はADHDと診断され、片付けが苦手だったという。そんな西原さんだからこそ、片付けられない人に寄り添った提案ができる。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号で、自身の過去や収納術などを明かす。
【整理収納アドバイザー 西原三葉さんが試行錯誤して行きついたクローゼットはこちら】
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ソファやクッション、テーブルの上には無造作に衣類やタオル類が置かれ、その横には書類の山。整理収納アドバイザーの西原三葉さん(50)は、数年前までそんな部屋に住んでいたと、写真を見せてくれた。
「今でも、忙しいときにはこれに近い状態になります」
昔から片付けは大の苦手。家のなかは“汚部屋”状態で足の踏み場がなく、ベランダに放置した粗大ごみからゴキブリを大量発生させたこともあった。
40歳のときに注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断され、片付けが苦手なのは「脳のクセ」のせいとわかった。ADHDは発達障害の一つで、時間管理が苦手、集中力が続きづらいなどの特徴がある。認知行動療法で考え方や行動のクセを見直すなかで荒れていた部屋の風景が変わり、整理収納アドバイザー1級を取得。これまで500件以上の依頼者の片付けを請け負ってきた。
西原さんの依頼者の多くは同じような特性を持ち、過去に片付けに失敗したことで自尊心を失っている。「家事は女性」という価値観から、追い詰められている女性も多いという。
「片付けのプロは、片付けが得意な人ばかり。片付けられない人がどうしてできないのか、わかっていないんです」
都内在住の50代女性も、西原さんに助けを求めた一人。コロナ禍で学校が休みになり、小学生の娘と中学生の息子が毎日家にいる。3食分、家族の食事が必要になり、食材の在庫も増えた。食料庫なのになぜか文房具が置いてあったりしたカオス状態のパントリーはもので溢れ、とても一人では収拾がつかなくなった。
「2年前に家を建てたとき、片付けられないことを知っていた夫が収納を増やしてくれたんですが、いくら収納が増えても中はゴチャゴチャになる。コロナで完全にパンクしました」