パ(唇を閉じる筋力を鍛える)
タ(食べ物を押しつぶしたり、のみ込んだりするトレーニングになる)
カ(食べ物をのみ込み、食道へ送る上で必要な動きとなる)
ラ(食べ物をのどの奥へと運ぶための舌の筋肉を鍛える)
前出の杉本さんは、「コロナより怖いのはフレイル」と指摘し、一人で食事する高齢者に、以下の取り組みを勧める。
(1)「食べる」「歩く」「しゃべる」を意識する
(2)総菜を買うなどして、偏食を避ける
(3)野菜料理を1品は作る
コロナ禍で外出しづらい今、運動の機会は限られる。一人暮らしであればなおさら部屋の中で動かず、結果として食欲もわかず、食事の回数が減るといった悪循環に陥る危険性がある。
「高齢者の方々は自粛を必要以上に守る傾向にあります。その結果、フレイルやうつ、認知症が進んでしまっては元も子もありません。体を動かすことも必要です」(杉本さん)
成田さんも、孤食による抑うつ状態や人との交流機会の減少に気をつけてほしいという。
「これまでは誰かと一緒に食べる機会を増やすことを勧めていたのですが、コロナ禍の状況ではなかなか難しく、孤食になるのは致し方ないことです」
とした上で、
「食欲の低下を防ぐことから始め、機能維持に努める。常に誰かと連絡を取り合ったり、少しは外出して、会食はできなくとも人と会うようにしたりして孤独になることを避ける。こうしたことを心がけてほしいです」
会食ができなくても交流は図れる。外に出られなければ、生協の宅配サービスにある見守り活動でコミュニケーションをとるという方法もある。今回、紹介してもらった予防策などとあわせ、積極的に活用していただきたい。(本誌・秦正理)
※週刊朝日 2021年1月1‐8日合併号