放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、M-1グランプリについて。
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M-1グランプリ2020はマヂカルラブリーが優勝しました。僕はBSフジで「冗談手帖」というお笑い番組のMCをやらせていただいて、そこに、2017年のM-1で上沼恵美子さんと「事件」を起こす前のマヂカルも出ていました。番組との相性は良く、何度か出てもらっているうちに、2017年のM-1に出て、上沼さんとの「事件」がありました。あの直後、僕の番組で会った時に、野田君は顔色が悪かったです。決勝での最下位に加えてあの事件。これからかなり頑張っていかないと、この先は本当にしんどいと思ったのかもしれない。
M-1って決勝の10組に選ばれてる時点で凄いこと。あそこで最下位でも、日本で10位なんです。なのに「最下位」みたいな空気が出てしまうコンビもいる。ちょっとした「かわいそうに感」が出てしまったり。マヂカルにもそれがあった。
だけど、2017年の死の淵から這い上がって来たような、そんなマヂカル。
今までM-1グランプリの中で審査員とのストーリーを、ここまで作ってきた人はいなかった。また相手が上沼恵美子さんという存在感がありすぎる人だからこそ、それはできたのだろう。このストーリーが彼らに風を吹かせたところもあるだろうし、見事に優勝した。
あのファイナルラウンドに対しては色んな意見が出ている。漫才らしい漫才を見たかったという意見もあるし、そういう意見にも共感できる。
だけど、マイク一本前にして、マイクに向かって喋らないという、とんでもないギャンブルをして、結果、爆笑を取った。
ファイナルラウンドの審査に関しては審査員によって色々な考え方があると思う。やはり、一番漫才らしい漫才をした人に票を入れる人、その場の笑いの量にこだわる人、ファーストラウンドでの笑いも含める人。僕は家で見ていて、今年は、マヂカルラブリーに勝手に票を入れていました。それは単純に決勝の笑いの量です。ファーストラウンドの「おいでやすこが」の爆笑度合いを考えて、一瞬悩むところでもありますが、テレビから聞こえてくる笑いの量で、マヂカル。