――3歳の息子さんとはどんな時間を過ごしていますか?
最近、息子はお兄ちゃんになる自覚がでてきているようです。やっとオムツもとれ、「妹が生まれてきたらお世話したい」と楽しみにしてくれています。2人目の出産後はアメリカに戻り、9月から息子はアメリカの幼稚園に通う予定です。こんなに長く日本に滞在することも、仕事を調整して息子を平日にスイミングに連れて行くことも、会社員ならできなかったこと。オフィスがなくても、パソコンさえあればどこでも仕事ができる環境で、自分でスケジュールを組めるから、息子との時間もフレキシブルに組み立てられています。
――アメリカに戻ってからの育児に不安はありますか?
会社員ではないので、今回産休はありません。「MAMATALK」の事業としての収益はまだまだこれからなので、私が仕事を休んでいる暇はありませんが、家事をアウトソースすることでバランスをとりたいと思います。アメリカは家事や育児の手助けを外注することに抵抗がない文化で、私の夫も支持してくれています。共働きで忙しいのに自分たちで全部やらなければという考えはなく、「家事のストレスを抱えてアンハッピーになるぐらいなら人を雇おう」と、まだ子どもがいなかった頃にも掃除のサービスを頼んでいました。「ナイトナース」という夜泊まり込みで赤ちゃんのお世話をしてくれる人も海外にはいるそうです。
――「MAMATALK」をどんな人に利用してほしいですか?
SNSやオンラインのやり取りだけでなく、近所で本当に会える友達を作ることが「MAMATALK」のコンセプトです。ママ友の定義から抜けて、大人になってからの友達づくりのきっかけとして使ってもらえればいいなと思っています。コロナ禍で人と会うことを控えなければならない状況になり、どうなるかと心配したのですが、地域の子育て広場が閉鎖や予約制になるなど、対面でのママ友づくりの場が少なくなり、逆に需要が増えました。ユーザーには「旦那さん以外の誰かと話したい」という人が多いです。子育ての疑問や悩みは検索すれば解決できる時代ですが、同じ子育てステージにいるママと話すだけで気が楽になったり、不安やストレスが軽減されることがあります。「そうだよね」って共感し合い、「お互い育児がんばろう」って励まし合う仲間がほしいんです。最近は集まりづらい世の中だからこそ、「メッセージのやりとりだけでもいいから話したい」と居住地に関係なく、掲示板機能も活発に利用されています。みなさんの使いやすい方法で、リアルな友達づくりに役立てていただきたい。今のユーザーは未就学児のママがメインなので、子どもが成長して小学生になっても長く使っていただけるような機能充実を考えています。今後は、日本と似たカルチャーをもつアジア展開も目指しています。
(聞き手/高丸昌子)
◆プロフィール
かーてぃす・ゆうこ/1989年生まれ。ニューヨークを拠点に、3歳の息子、アメリカ人の夫と暮らす。大学卒業後、東京の外資系金融に入社し、その後ニューヨーク本社に転勤。育休中に近所で気の合うママ友がなかなかできなかった自身の経験から起業を決意し、2019年10月にママ友マッチングアプリ「MAMATALK」をリリース。MAMATALK公式Instagramでは、子連れお出かけスポットの紹介やインスタライブを発信中。また、次世代アーティストとデザインコラボする、オーガニックコットンのベビーブランド「Little Gifted」も展開中。