――その思い付きを実行に移すところがすごいですね。
実はアメリカにはママ友マッチングアプリがすでにあったんです。日本でも男女のマッチングアプリが浸透してきていたので、ママ友でもあってよいのではないかと。初対面では面と向かって聞きにくい、働き方や年代、悩み、趣味、出身校などの情報をアプリが集め、自分と共通点のあるママと出会うことができれば、時間をかけずに気の合うママ友をつくれるんじゃないかと思ったんです。「ママ友」というとネガティブなイメージの報道もあります。学生時代の友達とは違い、めんどうなことも多いから距離を置いて付き合ったほうがいいという話も聞きます。それは、たまたま子ども同士が同じ園だからという程度のきっかけで知り合った場合が多く、ママ自体が主体となり、ママの価値観で出会った友達ではないからではないでしょうか。
――そもそも起業したいという目標があったんですか?
憧れはありましたが、「絶対に起業したい!」と思っていたわけではありません。でも私が起業したのは、自分自身がフレキシブルな働き方を望んでいるからです。アメリカ人と結婚して家庭を築きましたが、子どもたちには日本とアメリカ、2つの国のカルチャーを知ってほしいと考えています。けれど、私がアメリカで会社員をしていると、日本への行き来が自由にしにくい。今後、長く働くうえで、「起業という選択肢もあるな」とは漠然と思っていましたが、具体的な起業アイデアはありませんでした。「MAMATALK」を作ろうと決めたもののITの経験もないので、とりあえず知識のある人に相談して教わりながら、OJT(現任訓練)のようなやり方で仕事を進めながら私自身も学んでいます。「こうなったらどうしよう」と考えるより、「とりあえずやってみよう」という性格なんです(笑)。
――子育てや家事だけでも大変なのに……。その行動力は生まれ持ってのものですか?
昔から行動力だけはあるタイプで(笑)。高校時代は1年間、アメリカに留学して現地の高校に通っていました。大学でも1学期間、交換留学でカリフォルニアのバークレーで過ごしました。大学時代は、途上国に学校や図書館を作り、識字率向上を目指すNPO「ルーム・トゥ・リード」の学生団体の立ち上げにも関わりました。ゼロからなにかを始めるとき、やる前の不安よりも、やっているときの楽しさや、やりきった後の達成感を感じるんです。