NPB楽天時代の田中は力投型の投手というイメージ。1球ごとに声を出しながら、全力投球で打者へ向かって行く。真っ直ぐと、スプリット、スライダーが主で、コントロールは良かったが、仮に制球でミスしても日本時代は力で押し切れる場面が目立った。しかし渡米後は投球フォームからは以前ほどの力感も感じなくなり、まとまった投手になった感もある。

「米国に行った途端にすごく丁寧になった印象。楽天時代から準備していたのかもしれない。楽天時代はレベルが抜けていたし力勝負で十二分に戦えた。また若い時は新陳代謝も良いから疲労回復も早い。しかし長年やって行くためには、ずっと力投していたら身体も持たない。今は球を動かしながら、打者に追いかけさせる投球ができている。そういう部分がパフォーマンスの良さに現れている。メジャーで1番大事なのはコントロールで『コマンド』と呼ぶ部分。高低、左右、強弱、奥行きで球を自由に操れるか。田中は投手として完成形に近づきつつある」

「あれだけ安定した投手はなかなかいない。どの球団も欲しいのは間違いない。しかし今年の市場ではバウアーが最重要投手で、逃した球団が田中の獲得競争に参加するだろう。コロナで各球団の経営が厳しいので大判振る舞いはできない。だからこそ駆け引きがあって時間もかかる。ヤンキースからすれば計算できる投手を、できるだけ安く獲得したいはず。ヤンキースで投げるのが良いとは感じるけどね」

 メディアでは3年4000万ドル(約41億円)などと、契約額を予想した数字も飛び交っている。しかし混沌とする世の中、例年以上に先行き不透明な状況なのは間違いない。

 田中将大は来年も「ピンストライプに袖を通しているのか?」「チャンピオンリングには手が届くのか?」「そしてその先はどうするのか?」。

「次の契約満了後が楽しみ。現役最後までメジャーでやりたい、という気持ちはなさそうに見える。過去の日本人選手は米国では条件が合わず、日本に戻って来たケースばかり。田中の場合、例えば古巣・楽天から頼まれたり、本人の気持ち次第で日本に復帰しそうな感じもある。家族の問題など諸条件が整えば、現役最後に日本で投げることも大いに考えられる」

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メジャーでのプレーはあと3年?