隆盛を誇ってきたAKB48グループに大きな陰りが見える。象徴的だったのは、2020年12月8日に結成15周年という記念すべき節目の年を迎えたにもかかわらず、19年まで11年連続で出場していたNHK紅白歌合戦に落選したことだ。
【写真】紅白落選でも「30歳までAKB」と明言するメンバーは?
ただ、人気の下降は19年の早い段階で進んでいたと、アイドルウォッチャーの北川昌弘さんは指摘する。
「紅白に関しては、そもそも19年もよく出られたなと思いました。19年3月にNHK-BSでの冠番組が終了していて、すでに局としてAKB48からは引き気味でしたし、首をかしげる人は多かった」
その理由として大きいのは、18年12月に起きたNGT48のメンバーに対する暴行事件を発端とした一連の騒動だ。メンバーがファンの男2人に暴行を受け、事件には同グループの他のメンバーが関与していたと、SNSで暴行受けたメンバーが告発し、炎上。幕引きを図った当時の運営会社の不誠実な対応も火に油を注いだ。
「AKBには、それまでトラブルはあっても、ピンチをチャンスに変える力と勢いを持っていました。誰かのスキャンダルが出ても、それを話題にさらにファンを呼び込んだ。しかし、この一件で行政や地元企業のスポンサーの信用を完全に失い、NGT48はタイアップの取りやめ、冠番組が終了に追い込まれるなど、グループ全体に大きなイメージダウンをもたらしました」(北川さん)
ただ、暴行事件はあくまで人気下降のわかりやすいきっかけだったと続ける。
「AKBが出てきた初期は、ハロプロなど既存のグループはあったとはいえ、競合がいないアイドルとして突出した存在でした。ですが、妹分と言われる乃木坂46など坂道グループが台頭し、他のグループアイドルも急増したことで、ファンやアイドルを目指す人にとっての選択肢が大幅に増えた。『AKBがすべて』の時代ではなくなっていたんです」
今年の紅白には、AKB48グループの出場はゼロ。対して、坂道グループは櫻坂46、乃木坂46、日向坂46と3グループ出場する。