多くの日本人ノーベル賞受賞者を輩出する東大と京大。両校の違いはその校風にあるようだ。文部科学省によれば、2011年度の東大と民間企業との共同研究実施件数は1262件で、2位の大阪大の754件を大きく引き離している。対する京大は718件で4位にとどまっている。
ロケット工学を学ぶ東大大学院生はこう明かす。「他大学ではお金がなくてなかなか実験ができないことも、“東大ブランド”のおかげで共同研究という形で研究できる。私も、航空関係の企業から研究費を出してもらっています」。
東大経済学部出身で、滋賀大の学長を務める佐和隆光氏も言う。「何といっても、東大は実学の殿堂ですからね。学生の平均レベルは高いし、やっぱり“賢い”ですよ。ただし、権威主義的で、独特の堅苦しさ、重苦しさもあるんですよね」。
これに対し、京大では自由に研究できるのを魅力と感じる研究者が多いようだ。「自由さは想像以上でした。新入生のガイダンスだというのに、教授たちが壇上で悪口を言い合っているくらいでしたから。研究漬けで、いつ家に帰っているんだろう、という先生も多かった。やりたいことをひたすらやっている、周りからみれば変な人が多かったですね」(京大卒の研究者)。
京都工芸繊維大の古山正雄学長(京大工)も言う。「東大が読売ジャイアンツなら、うちは阪神タイガース。反骨精神を体現しているところがあるんですよ」。
※週刊朝日 2013年3月29日号