仕事量が急増したことと、重責を担わされたことで、Aさんは精神を病み、10日間ほど病気休暇をとった。
「検事や副検事からは、何の指示もサポートもありません。起訴か不起訴かを決する、本来、検察事務官に与えられていない責務を求められたことで精神状態もおかしくなってしまった。何度も一任事件をやめさせてほしいと訴えたが、無視された。それをきっかけに上司と対立、言い争うようになった」(Aさん)
そして上司との対立からAさんの勤務評定は5段階の最低「E」まで落とされた。さらに職場対立で大声を出し、秩序を乱したという理由で、神戸地検はAさんを分限免職処分に踏み切った。
Aさんはこれを不服として、人事院に処分の取り消し審査請求を起こした。Aさんが神戸地検在籍時の上司(現、弁護士)は、人事院で証人となったときにこう証言している。
「(神戸地検が主張する)一般の検察事務官に包括的に事件処理をということは、権限を認めること。丸投げです。私の在籍時はなかったが、検察庁によっては忙しいというところは、違法だがルーズになっていたのが実態ではないか。主任検察官のところにAさんの印鑑があるというのは、ありえない」
地方の検察庁で部長経験もある、元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士もこう指摘する。
「ある地検の交通部にいたとき、誰がやっても結論は同じという事案はある程度、検察事務官に任せました。もちろん、最後は私自身が報告を受け、処理内容をチェックしていました。今回のような検察事務官への一任は、ありえないことだ」
しかし、神戸地検は「一任事件」についてはAさんの検取の適格を見極めるために指導の一環でやらせていたなどと主張。人事院はAさんの訴えを却下した。
そこで同年6月にAさんは民事訴訟を提訴。その裁判で神戸地検が請求した証拠に重大な問題があることがわかった。人事院での審査の際、前出の上司ら神戸地検の5人が証言した。神戸地検はその「反訳書」(録音文字起こし)を裁判で証拠請求した。
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