硬貨を入れてレバーをぐるり。「ガチャガチャ」が幅広い世代にブームだ。専門店も増え、市場規模は400億円に。子どもも大人も引きつける魅力とは。日本有数のコレクターに聞く。AERA2021年1月11日号の記事を紹介する。
【写真】キン肉マン消しゴム大ヒット!「ガチャガチャ」の歴史を振り返る
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「これ、かわいくない?」
高校生の市川令菜さん(18)はミニチュアの文具のカプセルトイ(通称・ガチャガチャ)を見つけるや400円を投入してゲット。
「本物そっくりのミニチュア家具とかを集めている人のインスタを見て、最近はまっています」
昨年12月頭、「ガチャガチャの森・池袋サンシャインシティアルタ店」を訪ねた。2020年3月にオープンし、1200台の販売機が並ぶ、都内最大級の専門店だ。店内は白を基調に洗練された雰囲気で、客層は子どもから高齢者まで幅広い。
子どものスイミングスクール帰りによく寄るという工藤準さん(43)。この日、蓮生ちゃん(5)はポケモン、彩桜ちゃん(4)はトイ・ストーリーのガチャガチャを回した。準さんは言う。
「僕はキン肉マン消しゴムにはまった世代です。欲しいのがあって、ガチャガチャの機械をひっくり返したこともあります」
■テレビの夢が小遣いで
カプセルトイがアメリカから日本に輸入された1965年から、55年。いま第3次ブームが起きている。コロナ禍でもブームの勢いは止まらない。ガチャガチャの何が、人々を魅了するのだろうか。
タレントのワッキー貝山さん(50)は、40年以上ガチャガチャを収集してきたコレクターだ。コレクションの数は実に10万個を超える。初めてガチャガチャを回したのは小学校2年のとき。ワッキーさんは言う。
「ガチャガチャを回すと、スーパーカーやウルトラマン、ピンク・レディーが当たると書いてあって、キラキラ見えました。テレビで憧れているものが、自分の小遣いで手に入るんだって」
10円玉を2枚入れ、レバーをまわすと、カプセルに入った商品がコロンと出てきた。ところが当たりが出るのは、せいぜい20回に1回。ハズレが出ると、今度こそはとまた回す。