以後、クリエーターと組んだ、デザイン性の高い商品が続々登場する。17年には大人の女性をターゲットにし、売り場にデザイン性を取り込んだ専門店も現れる。冒頭の「ガチャガチャの森」だ。コロナ禍中も出店ラッシュの勢いは止まらず、「第4次ブームの兆し」と見る人もいる。運営する、ルルアークのゼネラルマネジャー・松井一平さん(46)は言う。

「女性の購買ニーズが高いことは、データからわかっていました。しかし、これまで女性の入りやすい店がなかったのです」

■モノ消費からコト消費

 豊富な品揃えは女性だけでなく、従来のガチャガチャファンたちも引きつける。客層の厚みが来店客数を増やし、多様な商品展開も可能にした。

「ガチャガチャの森」に足を一歩踏み入れると、人気キャラクターのカプセルがあれば、生き物や生活用品を精巧に再現したものもある。かと思えば、池のゴミ、「壊して遊ぶ壺。ただし元には戻せません」など、思わず笑いがこみあげるものも。松井さんは言う。

「私たちはガチャガチャをカプセルトイと言いません。コンテンツだと思っています。コロナ禍でもなぜそんなに勢いがあるのですか?とよく聞かれますが、ガチャガチャはモノ消費でなく体験を楽しむコト消費だからです。コロナでコト消費が制限されるなか、安心して手軽に楽しめる場として支持されているのだと思います」

「モノ」から老若男女が楽しむ「カルチャー」へ、ガチャガチャは半世紀を経て進化した。多様な遊び心が、閉塞感漂う日常に小さな風穴を開ける。快進撃の理由はそこにある。(編集部・石田かおる)

AERA 2021年1月11日号