94年、第2次ブームの引き金となったのは、バンダイが発売した「HGシリーズ ウルトラマン」だ。長年カプセルトイビジネスに携わり、日本ガチャガチャ協会を立ち上げた小野尾勝彦さん(55)は言う。
「それまでガチャガチャのフィギュアは単色だったのが彩色され、レベルも高くなった。ディズニーも加わり、大人も巻き込む第2次ブームが起きました」
「開運!なんでも鑑定団」の放送が始まり、大人のカプセルトイコレクターも出始めた。
■「フチ子」が火を付けた
さらに販売機の進歩も市場拡大を後押しした。95年、ユージン(現タカラトミーアーツ)が上下2台一体型の「スリムボーイ」を発売する。
「当時100円機と200円機はバラバラでしたが、スリムボーイはどちらにも対応できる仕様になっていました。商品補充や集金の手間も簡便にしたため、手軽に売り場におけるようになり販路が拡大しました」(小野尾さん)
販売機は電源がいらないため、置くだけで売り場ができる。大人のブームを受け、ヴィレッジヴァンガードなどのサブカルショップが設置。その後、ファストフード店やファミレスなどにも広がっていく。
日本ガチャガチャ協会の調べでは、カプセルトイの市場規模は19年が380億~400億円。毎月約300シリーズが登場する。メーカーは約30社あるが、シェアの約8割をバンダイ、タカラトミーアーツの大手2社が占め、残り2割は中小のメーカーがしのぎを削る。
今に続く第3次ブームに火を付けたのは、従来のガチャガチャのコア購入者でない女性たちだった。12年、キタンクラブがマンガ家のタナカカツキさんとコラボした「コップのフチ子」がヒット。SNSを通じて広がり、これまでに累計5千万個以上を売り上げた。キタンクラブを主宰する古屋大貴さん(45)は語る。
「立体のサンプルをおこした瞬間、『これは売れる』と確信しました。いいものは説明がいらない。コップのふちに座るという発想も斬新でした」