浅田:そうですね。私はシングルのスケーターなので、ふだんは一人で滑ることが多いんですけど、エキシビションだとみんなで滑れたり、衣装も長いスカートを着られたり、小道具が使えたり、そして楽しい照明も入ったりするので、試合というよりショーという雰囲気になりますね。
林:「サンクスツアー」もああいう感じだと思っていいんですか。
浅田:そうですね。私が選手時代に使ってきた曲をいくつかセレクトして、メドレーみたいな形で、私とスケーターとが交互に滑っていく構成になっています。
林:大きな大会のチケットって、なかなか手に入りづらいですけど、全国でやってくだされば、皆さん見に行けますね。
浅田:はい。自分が選手のときにもフィギュアスケートのアイスショーには出たりしてたんですけど、アイスショーってチケットが高いんです。だから自分が引退して、もしアイスショーをやるなら、お求めやすい価格でやりたいという思いがあったので、この「サンクスツアー」はできるだけ皆さんに来ていただきやすいようにお安くしました。
林:小さいお子さんも喜んでくれるでしょう。
浅田:はい。私も昔、伊藤みどりさんのアイスショーを見て、いつかみどりさんみたいに、素敵な衣装を着てアイスショーで滑りたいなという夢を持っていたので、「サンクスツアー」を通して、子どもたちに夢やパワーを送れたらいいなと思ってます。
林:現役時代のことをお聞きしたいんですけど、3回転半を跳ぶときってどんな感覚なんですか。
浅田:3回転半、トリプルアクセルはですね、力がすごくいりますね。スピード、力、タイミング……。いろんな要素がピタッと重なったときにだけ決まります。
林:バンクーバーの冬季オリンピック(10年)でキム・ヨナさんが優勝したとき、私には真央ちゃんの演技が完璧に見えました。
浅田:ショートは完璧だったんですが、フリーで二つミスをしてしまったんです。
林:そうだったんですか。キム・ヨナさんが先に滑った後に真央ちゃんが滑るというときの精神状態ってどうだったんですか。
浅田:ほかの人の演技は見ないようにしてましたね。なるべく見たくなかったので。