今年、全国の公立高校で最も多い46人の東大合格者を出したのは県立浦和だった。東大のおひざもと、都立の活躍もめざましい。西は東大に34人、日比谷は29人、国立は22人が合格した。京大では、公立の合格者数トップは北野で、昨年より10人多い65人が合格した。
近年、公立がなぜ好調なのだろうか。大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャーは、こう分析する。
「2008年のリーマンショック後に高校受験をした層は、私立から公立に進路を変えた人がかなりいるとみられます。公立は学費が割安なこともあって人気は底堅いし、学区などの制度改革で実績を伸ばしています。上位の私立中高一貫校では高校進学時の募集を停止するところが多く、受け皿も少なくなっている。そんな中で、優秀な子が公立上位校を目指すようになってきたのではないでしょうか」
さかのぼると、都立の低迷は、都が1967年度に「学校群制」を実施し、学区ごとに定められた高校群を受験する制度にして以降だ。志望高校を自由に選べなくなって人気も進学率も急降下。東大合格者を都立全体で約760人、トップだった日比谷単独でも200人近く出したこともあったのに、04年には都立全体で合格者56人にまで没落した。
復活のきっかけは、01年、都が進学指導重点校を指定したことだ。予算や人員を重点的に配分し、進学対策に力を入れた。03年に学区がなくなり、05年には都立中高一貫校も開校した。以降、都立(区立含む)全体の東大合格者数は年々増え、今年は139人になった。都教育委員会の学校経営指導担当課長、星政典氏はこう話す。
「やる気と実力のある先生を公募したり、予備校に学んで進学指導のスキルを身につけていただいたりしています。重点校とともに、都立中高一貫校も良い成果を出しています。経済的に苦しいから都立、というのではなく、私立も含め、多くの選択肢の中から選ばれるようになってほしい」
※週刊朝日 2013年4月5日号