ジョークのつもりで口にした言葉が、チームワークを乱す失言として問題になったのが、阪神の助っ人、マット・マートンだ。
12年6月9日のオリックス戦、先発・能見篤史は0対1の4回2死二塁、斎藤俊雄に右前安打を打たれた。
ライトのマートンは前進守備を取っており、余裕で二塁走者・大引啓次の生還を阻止すると思われた。
ところが、マートンはまるで走者がいないかのような緩慢な動作で返球し、ボールも三塁方向にそれたため、2点目はもとより、打者走者・斎藤の二進をも許してしまう。
1対6で敗れた試合後、このプレーについて質問されたマートンは「ニルイドウゾ。アイ・ドント・ライク・ノウミサン」と答えた。
自身の打撃不振や拙守にいら立ち、思わず口をついて出たようだが、冗談めかしていたとはいえ、チームメートを公然と「嫌い」と言ったのは、まずかった。
自責の念に駆られたマートンは、翌13年4月9日の巨人戦で、6回に先制タイムリーを放ち、完封勝利の能見とともにお立ち台に上がると、「ノウミサン、アイシテルー!」と言いながら抱きつき、スタンドの大喝采を浴びた。
本塁上のラフプレーなど、トラブルもよく起こしたが、阪神ファンの多くは、明るい性格で、進んで日本になじもうとしたマートンを“愛すべき助っ人”として記憶しているはずだ。
シーズン中に「暇」発言で物議をかもしたのが、巨人時代の村田修一だ。
16年、村田は打率3割2厘、25本塁打、81打点の好成績で、ベストナインとゴールデングラブ賞を受賞した。
だが、翌17年にケーシー・マギーが加入すると、サードのポジションを奪われ、出番もほとんどが試合終盤の代打だった。
ベンチを温める不遇の日々が続くなか、村田は4月の熊本遠征中に収録された「ズームイン!!サタデー」(日本テレビ系)内のコーナー、「プロ野球熱ケツ情報」に出演。MCの野球評論家・宮本和知氏が出題したご当地(熊本)クイズに見事正解して「カッコいいですね」と褒められると、「暇過ぎて。勉強できるんで」と答えた。問題発言に焦った宮本氏が「いやいや、やめてください」と制止すると、今度はベンチのほうに向かって「暇過ぎて!まじで暇過ぎるんですよ」と訴えた。