買い物、ギャンブル、SNS、カフェイン、ダイエット、ゲーム……。ほどほどなら問題ないことも、度を越すと依存になる。「いつでもやめられる」と過信せず、リスクを知って生活習慣を見直そう。AERA 2023年2月6日号の記事を紹介する。
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いつの間にか寝酒を繰り返すようになった。勤務時間中に何度もたばこ休憩をしてしまう。気が付けば、SNSのタイムラインを追いかけている。
どれも嗜好であり、好きの一つだ。だが、度が過ぎると依存になる。
「好きと依存の境界線って、どこにあるんですかね」
都内の会社に勤める女性(27)はそう首をかしげる。
ファッションやメイクが大好きで、新しい洋服や化粧品に月10万円くらいかけている。家賃や光熱費を払えば、給料はほとんどなくなる。貯金もほぼなし。インスタグラムに購入品を載せるときは、「買い物依存すぎてやばい」とコメントをつけた。
「本気で依存症とは思っていなくて、免罪符みたいな感じなのかも。ただ、最近はこれまで無縁だったリボ払いを使うようになっちゃって、少しだけ怖い」
「リボルビング払い」は欧米でよく使われている支払い方法の一つで、利用金額や件数にかかわらず、毎月一定額を支払うことをいう。月々の支払いを抑えられるメリットはあるが、利息がかさみ、思いもよらない額を支払うことになる場合もある。
■「依存症」一つの共通点
常にスマホを手放せないでいるというのは、都内に住む25歳女性だ。インスタ、ツイッター、ティックトック……。通知もきていないのに、SNSを開いては閉じる。また、違うアプリを開く。いつの間にか数時間が経っている。
「SNSがなくなったらどうしようって不安になる。検査を受けたわけではないけど、依存症かもって思います」
2人の女性たちは、依存症なのだろうか。
「どの依存症にも共通することをあえて一つ挙げるなら、自分の中にある『大切なものランキング』の順位が変わってしまうことです」
そう説明するのは、国立精神・神経医療研究センターで薬物依存研究部長を務める松本俊彦さんだ。たとえば、自分自身の健康や家族関係、友人、財産など、一人ひとりにとって大切なものがある。その大切なもののランキングの一番上に依存対象が居座るようになったら、依存症の可能性が高くなる。