歯科疾患実態調査(2016年)によると、歯周ポケットがあるなど歯周病の症状がある人の割合は、35歳以上では約7割にものぼる。元日本臨床歯周病学会理事長の二階堂雅彦さんはこう話す。

「歯周病は早期なら歯みがきで改善できますが、中等度以上になると歯科医院での歯周病治療が必要になります。重症になると抜歯せざるを得ないケースも出てきます」

 歯周病は重症でも出血や腫れがあるだけで、痛みがないことも。「8020運動」の普及で歯の大切さは多くの人が知るところとなったが、逆に抜かなければならない歯でも、残したいと切望する患者が、特に高齢者では少なくないという。

「重症の歯周病がある歯は、根の奥深くまで悪玉歯周病菌が侵食し、歯石もかなり付いています。放置しておくと周囲の歯にも菌が広がりますし、全身への影響も見逃せません。抜いたほうがいいのです」(二階堂さん)

 こうならないためには適切な歯みがきが必要なのだが、ある歯科大の調査では、しっかりみがけていると思っている人の6割はみがき残しがあり、きちんとみがけている割合は、たった4割だということがわかっている。

「今は歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなどのケア用品を使うのが普通。歯周病がない人や軽い人はフロス、歯周病が進行した人は歯間ブラシなど、自分の歯の形や歯周病の程度でも使うケア用品が違ってきます。自己流ではなく、歯科衛生士などに自分に合った歯みがき法を習って、それを実践することが大事です」(同)

 以上の習慣を参考に、早めに対策をとっていただきたい。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2021年2月5日号より抜粋