「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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2011年3月11日。多くの方がお亡くなりになった東日本大震災から、間もなく10年を迎えます。
14時46分に地震が発生した後、津波にのまれ、大勢の方が犠牲になりました。その中には、東北の加盟店で働くローソンの大切な仲間もいました。
社長に就任した後、亡くなられたオーナーさんのお墓参りに伺いました。あるお店では一度避難した後に、もう大丈夫とお店を開けて津波にのまれてしまったというオーナーご夫妻もいました。当時はあのような津波を予測することはできませんでしたが、何よりも安全第一を徹底して、決して亡くなる方を出してはいけないと強く誓う出来事でした。
古くからのオーナーさんの中には、阪神・淡路大震災を経験された方もいます。その後も、新潟県中越地震や熊本地震、北海道胆振東部地震と多くの災害が私たちを襲い、その度に今できることの最善を尽くしてきました。全国の加盟店さんと本部が一致団結し、生活インフラとしてマチを支えていきたいと考えています。
ローソンでは震災翌日の3月12日から、店頭で東日本大震災のための募金箱を設置。Pontaカードなどポイント利用による募金なども行い、わずか1カ月半ほどでローソングループ各社合わせて全国から10億円以上の募金が集まりました。
その後、「夢を応援基金」として、東日本大震災の影響で就学が困難になった学生の方1097人に返還不要の奨学金の給付などを行いました。あれから10年が経ち、学生だったみなさんは社会人になられています。
ローソン全店で自分たちの役割や仕事の原点に立ち返るためにも、3月11日は現地に赴き、当時を知るお店の方や周りの仲間の話を聞かせていただこうと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長