サケも長距離を移動しますが、あまり移動せず同じ海域にとどまっている時期もあり、マグロなどのように常に長距離を泳ぎ続けているわけではありませんので、「ヘモグロビン」や「ミオグロビン」の含有量が少ないということです。
サケの身が赤っぽいのは、エサとして食べているオキアミや甲殻類の殻の赤色が身に移っているためなんです。オキアミや甲殻類の殻には、「アスタキサンチン」という赤い物質が多く含まれていて、それをたくさん食べることで、サケの身が赤くなってくるんです。
このサケの身を赤くしている「アスタキサンチン」という物質が、近年注目を集めています。というのもこの「アスタキサンチン」は、ビタミンEの1千倍もの非常に高い抗酸化力を持っており、カラダの酸化がもたらすさまざまな不調の予防や、アンチエイジングの効果が期待されているんです。
ということは、サケの身にもそうした効果が期待できるのかもしれませんね。
ちなみに、赤身魚、白身魚に加えて、青魚という魚も存在しますが、これは身が青いということではなく、サバやイワシ、ハマチなどの背中が青い魚のことです。
これに対して、キンメダイやカサゴなどの背中が赤い魚を赤魚と呼ぶこともあります。赤魚の赤い皮にも、「アスタキサンチン」が多く含まれていると言われています。
回転寿司のお店では、赤身魚から白身魚、青魚、赤魚まで、さまざまなネタを使ったお寿司が、皆さんの目の前を回っています。
「このネタは見た目は白いけど、実は赤身魚なんだよ」などのウンチクを話しながら、レーン上からお寿司を取って食べるのも回転寿司の楽しみ方のひとつではないでしょうか。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長
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