新型コロナウイルスの感染リスクや家計の悪化などから、実家近くの大学を選ぶ傾向が強まっている。2月25日から個別試験の前期日程が始まる国公立大にも、受験生の期待に応えるために地方で独自性を出す大学が少なくない。就職力、学習支援、新学部──。注目を集める大学を紹介する。
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高い就職力で知られるのが、秋田市にある公立大・国際教養大だ。2004年設立で計800人ほどの小規模校ながら、大学通信が発表した「有名企業400社への実就職率」ランキング最新版(20年)では東京工業大、一橋大に次いで3位に入った。これまで三菱電機17人、ソニー15人、三菱重工業14人などへの就職実績がある。
授業はすべて英語で、1年間の海外留学が義務と、語学教育で評価が高い(コロナ禍のため、現在は代わりに「オンライン留学」などを実施)。大学が力を入れるのは勉強だけでなく、企業説明会では160~200社を集める。職員らの「営業活動」で数が増えていったという。
大学通信の安田賢治常務が説明する。
「授業をすべて英語で行う大学は04年時点で珍しく、開学当初から注目されていました。公立で学費も安く、かつ就職率も高いとあって、高校の進路指導の先生にアンケートを取っても評価は大変高いです」
企業担当者からは、気配りができる学生が多いと評価されているという。キャリア開発センター長の三栗谷俊明さんは言う。「本学の学生は寮生活や留学など、他人と共同生活をする機会が多くあります。その中で人と競り合うより、チームで物事を成し遂げる気風が生まれています」
4年前からは、大阪大や早稲田大などと「大学生の未来を支援する会」を立ち上げ、留学から帰国した学生を対象にイベントを実施している。県外の大学との交流にも積極的だ。
佐賀大は、学びの支援に特徴がある。「ラーニング・ポートフォリオ」というウェブシステムを導入し、学生は卒業後の進路希望や授業で何を身につけたいかを入力。半期ごとに達成度を自己評価する。各学生にはチューターと呼ばれる担任(学部教員が兼任)がつき、自己評価を基に単位の取得状況や今後の目標設定などについて面談する。