入力率は6~7割。コロナ禍で若干落ちているものの、他大学と比べても高い数字だという。11年の導入当初から取り組みを担当する全学教育機構高等教育開発室の山内一祥さんは、こう話す。
「10年間続けたことで、佐賀大の『カルチャー』として定着するようになりました。学生が自分の学びを自らマネジメントできるようになってきたのは大きな変化だと思っています」
今後考えているのが、キャリア支援への応用だ。どのような学習履歴をたどった学生がどんな企業に就職したのか大学側で分析。自分と似た学習観を持った卒業生が受けた業界や、内定企業を学生に伝えられるように準備しているという。
「中四国最大規模」を売りに工学部が生まれ変わるのが岡山大だ。定員は610人。1960年に誕生した従来の工学部と、環境問題解決を目指して94年にできた環境理工学部が今春合体し、四つの専門分野(系)と10のコースがある1学部1学科体制となる。
菅誠治副学長(理工系改革担当)が狙いを話す。
「これからの大学には、幅広い視野を持ち、社会課題を発見・把握し、主体的に解決できる人材養成が求められます。そのため、私たちは専門知識だけを学べばよいという『タコツボ』型教育をやめ、専門外の分野にも興味が持てるよう教育体系を変えなければいけません」
学生は2年次から四つの系に振り分けられる。環境・社会基盤系では日本を代表する建築家の一人、隈研吾氏が特別招聘教授に就任するのも改革の目玉だ。一方で、県内で生産が盛んなCLT(木板がブロックのように積み重なった直交集成板)を授業に採り入れるなど、「岡山大らしさ」も出す予定だという。
在校生は、岡山県と隣の兵庫県の出身者が各3割程度。菅副学長は言う。
「新生工学部では、中四国のみならず関西エリアからの学生の増加にも期待したいです」
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年2月19日号