※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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閉塞性動脈硬化症。動脈硬化した血管は元には戻らない。生活習慣改善による予防が最重要だ(イラスト/今崎和広)
閉塞性動脈硬化症。動脈硬化した血管は元には戻らない。生活習慣改善による予防が最重要だ(イラスト/今崎和広)
閉塞性動脈硬化症のデータ※週刊朝日2021年2月19日号より
閉塞性動脈硬化症のデータ※週刊朝日2021年2月19日号より

 動脈硬化によって脚の血行が悪くなった状態を閉塞性動脈硬化症(ASO)という。歩行時の痛みが主な症状だが、重症化すると脚が腐り、切断に至ることもある。進行性の病気であるため、早期に病院に行くことが重要になる。

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 血液を全身に届ける動脈は、心臓からの圧力に耐えられるように、分厚く、伸び縮みするようにできている。この動脈が、喫煙、高血圧、脂質異常、糖尿病などの危険因子によって硬くなり、柔軟性が失われた状態を動脈硬化と呼ぶ。

 その中でも、主に脚(下肢)の動脈硬化によって血行障害が起こる病気をASO(閉塞性動脈硬化症)という。PAD(末梢動脈疾患)と呼ばれることもある。

 ASOになると、足先へ栄養や酸素が届かなくなり、症状が高度に進行すると足に潰瘍ができたり、壊疽を引き起こしたりする。最悪の場合は下肢切断が必要となる。

 推定患者数は少なくとも100万人はいると考えられ、特に高齢者に多い。男性は40歳から、女性は60歳くらいからリスクが高くなる。

 国際医療福祉大学三田病院血管外科教授の重松邦広医師は、下肢切断になるリスク以外のASOの怖さを、次のように話す。

「下肢に動脈硬化が起きているということは、全身の血管にも動脈硬化が起きているということです。狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など、命に関わる病気のシグナルとしても捉える必要があります」

■歩行時の脚の痛みが最大の自覚症状

 ASOの重症度を表すものとしては、ラザフォード分類などが用いられる。ラザフォード分類では、7段階に分けられている。カテゴリー0が無症候、1~3が軽度・中等度・重度の間欠性跛行、4が安静時疼痛(じっとしていても痛い状態)、5が壊疽などによる組織欠損の範囲小、6が範囲大に分類される。

 間欠性跛行とは、少し歩くと脚が痛くなって歩けなくなるが、少し休むとまた歩けるようになる状態のことで、ASOの自覚症状としては最もわかりやすい。病気が進行すると、一度に歩ける距離が短くなってくる。頻度は少ないが、さらに進行するとカテゴリー4の安静時疼痛を生じるようになる。動かなくても痛い状態だと、運動療法などの保存的治療をおこなうことが難しく、基本的に手術以外の選択肢がなくなってしまう。間欠性跛行の症状があらわれた段階で、すぐ病院にかかるようにしたい。

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