朝食が食べられない人も少なくないだろう。だが、それが昼間の眠気につながっている。改善には「体内時計」を整えることが要になる。「食コンディショニング」を提唱する管理栄養士の小島美和子さんが、実例をもとに解説する。AERA 2021年2月22日号から。
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CASE
昼食後、強烈に眠くなりコーヒーをガブ飲み。でも夜は寝付きが悪くワインをやめられない。
昼食後に必ず猛烈な眠気に襲われるのが日常だという女性のケース。眠すぎて、毎日のように濃いコーヒーを3杯以上飲んで、無理やり覚醒させているという。そのためか夜の寝付きが悪く、夕食時はついワインに手が伸びてしまう。ほろ酔い状態で眠りにつくのが日課だが、最近はそれでもなかなか寝付けない。
朝は何か食べると気持ちが悪くなり、体調を崩してしまう体質。そもそもおなかもすいていないので、学生時代から朝ごはん抜きの生活を20年以上続け、慣れてしまっているという。
【小島さんのアドバイス】
■眠気の原因は朝食抜
男性女性問わず、よくいらっしゃるケースです。シンプルですが、まずは少しでも必ず朝食を食べる習慣をつけるところから始めてください。
「朝ごはんを食べると気持ちが悪くなる」「朝は食べられない」と言う方は多いのですが、体質の問題ではなくリズムが乱れて、体内時計がきちんと機能していないことが原因です。
私たちの脳や体内に備わっている各所の時計が動き出すと、朝の起床前から胃や腸など消化器が働き始め、朝食もおいしく食べられるようになります。「朝ごはんを食べられない」人は、この準備機能が正しく働いていないのです。
昼食後に眠くなるのも、朝食をまったくとらず、低血糖状態で昼食を食べているからです。朝ごはん抜きで時間も空き、血糖値がかなり下がっている状態で食べ物が入ってくるので、血糖値が急激に上昇→食べ終わると下降します。それがだるさや眠気を呼んでいます。
コーヒーは1日2杯程度に抑えましょう。特に夕方以降にとるカフェインは体内時計を後ろにずらし、寝付きが悪くなるので控えたいですね。朝食をとれば眠気が徐々に無くなっていくので、コーヒーの量も減らせるはずです。
寝付きが悪い場合、夕食後の過ごし方も少し変えてみては。夜は極力スマホを触らないようにしましょう。スマホのブルーライトは朝の陽光と同じで、眠りにつこうとしている脳を覚醒させてしまうからです。
リラックスタイムにアルコールを飲むなら糖質を含まない蒸留酒(ウイスキーや焼酎)がおすすめ。さらに飲む時間にも気をつけて、午後9時より前に飲み終えるようにしてみてください。遅くまで飲まなければ脳も胃腸も休まり、朝ごはんもおいしく食べられるようになりますよ。
(フードジャーナリスト・浅野陽子、編集部・中島晶子)
※AERA 2021年2月22日号より抜粋