「眠気覚ましと言えば苦~いコーヒー」。それ、間違ってます。AERA 2021年2月22日号から、コーヒー、紅茶、緑茶のパワーを最大限に生かす効果的な入れ方や飲むべきタイミングを紹介する。
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日によってはぽかぽかと春めいてくる今の季節。人目のあるオフィスにいても眠いのだから、在宅はもっと眠い。仕事は山積みなのに、ひなたのソファがチラチラ目に入って、「5分だけ横になれば?」と悪魔がささやいてくる。
そんなとき、多くの人が手に取る飲み物といえば、昭和の昔からコーヒーと相場が決まっている。ただしこれには、いくつかの誤解もあるらしい。コーヒー、紅茶、緑茶からビール、カクテルなどのアルコール類まで、飲料全般にくわしい飲料専門家で、“飲料王子”の異名を取る江沢貴弘さん(44)はこう話す。
「『夜明けのコーヒー』と言われるように、コーヒーに含まれるカフェインに目を覚ます効果があるのは本当です。カフェインには集中力を高め、疲労を回復させる効果もある。ただ量の差はあれ、カフェインは紅茶や緑茶にも入っている成分。どれもコーヒーだけの効果ではないんです」
たしかにコーヒーはカフェインの含有量が多いが、たとえば緑茶の「玉露」は、100グラムあたりのカフェイン含有量がコーヒーの2.5倍もある。
まさに「緑茶界のレッドブル」とも言えるこのお茶が「夜明けの玉露」とならなかった理由を、江沢さんはこう見る。
「お茶の抽出液にはカフェインが含まれるため、目が覚める飲み物という印象を持つ人も多いでしょう。でも実は、お茶の覚醒作用は穏やか。これはお茶の旨味成分であるテアニンが作用し、覚醒を抑制する働きがあるためです」
■「苦いほど効く」は誤解
コーヒーの誤解、その2。苦いコーヒー=カフェインが多い、という勘違いだ。現在、広く飲まれているコーヒーは大きく2種類。
「かつてコーヒーといえば深煎りのブレンドコーヒーでしたが、今は浅めのローストで、その豆独特の味わいを引き出すシングルオリジンと呼ばれるコーヒーも人気になっています。苦みが強い深煎りブレンドコーヒーのほうが、眠気覚ましなどの効果が高いと思いがちですが、カフェインは熱に弱いので、実はロースト、つまり火入れ度合いが浅い浅煎りは、豆の成分がより残り、カフェインの含有量が多いのです」